TAエスキス
6/11(火)はTAによる設計案エスキスです。
○石綿さん
もともと暗い色の木密街区を、白い色の耐火被覆で覆う。
街区の中で、黒いビルに囲まれた白い家ができて、気流が生まれる。
色の話より、外側のビルがRC、内側の家が木造で熱容量によるところが大きいかもしれない。
敷地候補は白山。
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ビルと住宅が接するところが面白い。
高さの違いと色の違いで風の流れができる、その関係性をデザイン。
全部の面が黒い必要があるのか、ビルとビルの間の面は黒である必要がないのでは。
もともと白いものを黒く塗るストーリーは成り立ちづらい。
真っ黒でないにしろ、もともとある程度色のあるものに白い耐火被覆を挿入していくというストーリーでよいのでは。
敷地は典型的な木密の方が良い。地形も絡んだ木密、東池袋など。
気流だけでなく、木密の空き家問題など、プログラムにも踏み込んだ提案まで行けるとベスト。
風が溜まるような地形を相手にするよりは、本来木密が持っているポテンシャルを生かしたほうが良い。
住宅の壁にだけこだわるのではなく、耐火性能をもった帯を街区に挿入するなど、中だけではなく外にも向かっていく可能性もある。
帯なら、もしかしたら黒くすることもできるかも。
黒い帯と白い帯が違った意味合いを持っていて、避難経路を示していたりすることもできる。
ある程度グリッドに近い街区を持った月島なんかを敷地にすると良いのでは。
気流を起こす上で、壁面が支配的なのか、屋根面が支配的なのか早めに把握すること。
○山本君
登り窯の排熱を利用。
だがそもそも登り窯が現在あまり残っていない。
登り窯が1000℃近くなると、周囲は200℃という温度になってしまう。
現在の敷地だと登り窯を利用できそうにないので、敷地を考え直した。
新しい敷地は京都。民家と窯しかない。
去年の夏に土砂崩れが起き、復興の途中である。
登り窯の形を継承する。
一番下に登り窯、その上に施設、一番上に住居が来る。
職人が10人規模ですむ住居。
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何年先を見据えるかで建築は変わってくる。
土木スケールのものは50年100年変わらないが、建築スケールなら20年30年でも変わりうる。
縮小化の流れに抗えるのか。
縮小化のデザインをするのか、それに抗って人を集める建築を目指すのか。
今この土地にあるもの、必要なものだけを設計しても、人が集まってくるビジョンにはなりえない。
芸術家・陶芸家が集まって暮らしている事例の中で、どの辺りを目指すのかまずは相対化する。
京都から20分という魅力的な立地の中で、観光客を含めた外部の人をいかに取り込むか、今の施設だと見えてこない。
隔離されていることを逆手にとって、京都とは違った観光地として確立させる。
長期的な展望を示しつつ、まずは敷地に行ってみては。
なぜ登り窯が焼き物に良いのか、その構造も把握する。
○米澤君
ガラスの入れ子住宅。
一番内側の安定した空間だけ用途が決められ、それ以外の部分は季節・時間帯ごとに快適な場所が変わってくる。
一番内側にダイニング・キッチンが配される。
実際のガラスを9枚並べて、9枚越しに光を当ててみると、拡散して光源がたくさんに見える。
シミュレーションを行うと、層ごとに温度の違いがみられた。
屋根を傾斜させた理由。北向きに傾斜させることで高度の高い太陽光の反射率を増やす。
一番外側が夏暑くなるので、外側の層の使い方は考え中。
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一番内側にリビング等が配されてしまうのはつまらない。
キッチンも何個もあってもいいのでは。
結局温度ムラの中で暮らすというが、25℃のところを選択するのでは。
それが空調された空間と何が違うのか。暑いから/寒いから移動するというの以上の意味を見出したい。
見え方のスタディをする。
レンダリング・模型・モックアップ、全部かっこよく見えるように。
本番模型は土台をしっかり作りこむ。
○小松君
敷地に行ってみたが、意外と旗竿敷地に風が流れていた。
設計プロセスを変えた。
住宅の中にヴォイドを挿入するところから始め、ヴォイドではなく風の通り道となる廊下を設けた。
内部空間・廊下・外部空間が入り混じり、内部にまで風を取り込む。
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なぜ風が吹くのかわかれば設計の手がかりになりそう。
周りの建物の高さによって吹く風が変わる。
周りの街区が大事。
土地ごとにいくつかのモデルをつくてみる。
イメージのプランではなく、周囲の街区に合わせた設計を始める。
プランだけでなくセクションでのスタディも。
何を良くしたか、この操作にどんな意味があるのか見せ方を考える。
フィールドワークで感じた身体感覚を、定量的に、グラフィック化して相手に伝えられるようにする。
○一杉君
たくさんの形のスタディをしてきた。
スラブが積層するだけでなく、トラスのような構造体が斜面に林立する形。
風のスタディまでは行ってないが、影のスタディをした。
また動線に接するヴォリュームのスタディも行い、ヴォリュームと動線両方の面から形を決める。
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ジグザグでは無理があるのではないか。
緩やかな傾斜の一本道とかはどうか。
プログラムの保育園に対して、普通に平坦な土地の方が園児は遊びやすいのでは。
急斜面に建築を建てることがまず難しい上、そのプログラムの妥当性を担保しなければならない。
エレベーターと接続する空間を用意してみる。
ヴォリュームのスタディは良いので、同線のスタディをもう少し増やす。
○アリスさん
地下空間ではワークショップが行われる。
地下空間に風を流すには、室を中心に配置し、その両側に隙間を設けるとよい。
続いてマテリアルのスタディを行った。
地中が石の冬の家、地上が木造の夏の家になる。
一年中すべての室を有効に利用するにはどうしたらよいかを考えた。
ファサードを可変なものにすることで、風の流れをコントロールし、室内に入る風を調整する。
二つの家が接続するところはコモンスペースとして、両方の家に利用される。
細い竹を用いた大小二重のファサードで日射遮蔽する。
時間があれば複数の住居を設計し、風の流れやコミュニティシステムまで踏み込みたい。
農業が盛んなこの土地では、冬になると住民が町へ進出してしまう。
そのため、冬でも暮らせるような家を設計。
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案のディベロップの仕方は二つ。
一つ目はコミュニティを考えて、複数の住宅を設計すること。
山と海の繋がりを考える。
二つ目はシミュレーションの領域を拡大して、ルーバー等までシミュレーションすること。
○大國さん
4~5層の集合住宅。
斜めのヴォリュームはシェアスペース、直方体のヴォリュームはプライベートスペース。
斜めの壁の角度は季節ごとの太陽高度で決まっている。
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円柱よりも昔のようなヴォリュームの方が良いのでは。
今のヴォリュームだと季節性や方位性が損なわれてしまう。
リサーチの結果に立ち返って、斜面の特性から設計する。
全部の面が傾いている必要があるのか。
温度成層をより大きくするために4層にしている割に、スラブが入ってきていてそうなるようには見えない。
アクティビティを繋ぎつつ、温度成層を作るためには、何かしら空気がつながっていなくては。
ある程度具体的な家族を想定して、各人の具体的なアクティビティに踏み込んで解像度を上げる。
○富山君
中高層ビル街の建て替え。
もともとの床面積を担保しつつ、ずらしていくことで光・風のあふれるオフィスとする。
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スラブをずらしていくルールを設ける。
アルゴリズムとかまで行かずとも、説明できる要素を。
ただ今の提案だと、最適解だと言えないと説得力に欠ける提案に聞こえてしまう。
今までのスタディでは一層でしか見られていなかったので、上下のつながりを解く。
風・熱・光すべてを解くのは時間的にも難しいので、スタディのポイントを絞る。
今までのスタディを、外部空間を使うための風環境として利用できるかもしれない。
高層階での風の付き合い方から風とライフスタイルをつなげられないか。
以上です。
次回は6/13(木)で、羽鳥さんとAnSスタジオの竹中様にレクチャしていただきます。