130613 Ans Studio 竹中様+日建設計 羽鳥様レクチャ

6月13日(木)、本日の前スタジオは、以下の内容でした。

・Ans Studio竹中様レクチャ

日建設計羽鳥様レクチャ

 

まずはAns Studio竹中様のレクチャです。

「コンピューテーションとデザインの可能性」

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 武蔵野美術大学で教えたあと、コロンビア大学で3年半コンピューテーショナルデザインを勉強。日本に帰国し、コンピューテーショナルデザインを用いて設計を行うAns Studioを岡部さんと設立。現在まで単独、協同で建築をとりまく多様なプロジェクトに関わってきました。
 
興味を持っている分野としては
Network based architectural design
Computational architectural design
Digital Fabrication
Robotics
があり、それぞれの分野で研究と実践を行なっています。
 
コンピューテーショナルデザインという分野において日本はすごい遅れています。
建築を取り巻く条件を建築に取り込めないか?ということに興味を持っています。
例えば、「自然」
歴史上、たくさんの建築家が自然について語っています。
当時コンピュータがない時代、コンピュータがないなりにスケッチなどで自然を把握しようとしていました。そうした観察、分析の上に、数多くの名建築が設計されてきました。

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 レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチした水
 
技術が進歩した現代において、コンピューテーションで建築はどう変わるのか?というテーマを持って設計に取り組んでいます。
例えば、形の振舞い方をデザインすることができるのではないかと考えています。以下に実作を紹介します。
 
木漏れ日プログラム
-小学館神保町3-3ビル ファサードデザイン-
環境データと連動して風形、光形を生成する乱数を作り、外装パネルの20万個の穴の大小決定に利用しました。

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種まきプログラム
-ソニーシティ大崎 外構計画-
いかにして都市に自然を感じる森を生成するか?というのがこのプロジェクトのテーマでした。

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このプロジェクトでは木の持っているネットワーク、空間情報データなどから乱数をデザインしてます。この乱数を用いることで、何万通りもの計画を生成することができるのですが、最終的には一つの案を導かなければなりません。その決定、収束のさせ方こそがデザインとなります。
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羽鳥様
まず、二年目で担当した大規模な集合住宅のプロジェクトについて発表します。
このプロジェクトを通して、よくも悪くも集約することの面白さを感じました。例えば、個別であれば全く問題にならないようなことが問題となります。
当時、生ゴミ専用のダストシュートを各戸に設置したのですが、あまりにも規模が大きいため、行政から指導が入りました。それを逆に利用して、集合住宅内で浄化するシステムの導入を提案しました。小規模で導入すると世帯あたりの負担が大きくなりますが、この規模だと世帯あたり100円に満たなかった。
また、ビル風対策も考える必要があったのですが、そこでの評価指標は「ビル風被害で訴えられない」という条件でした。「環境配慮」と一言に言ってもそれが含む意味は多様であり、その複合体である建築を最終的に「環境によい」ということの難しさを体感しました。
 
こうした経験から思うのは、環境にいいということを少ないパラメータでは表すことができていないということです。そのため、政治によってそ決定、切断を下さざるをえない。
 
ソニービル
このプロジェクトでは「環境にいい建築である」ということで、補助金をもらいました。
先程も言いましたが、環境にいいという複雑な指標を誰が決めることで補助金が出ています。設計者側としても補助金がとれるかどうかという政治的な切断が必要となってきます。
 このビルは都市のヒートアイランド現象の抑制に寄与するという画期的なコンセプトに基づいて設計したわけですが、50年、100年後に都市がどうなっているかなんてわからない。50年後も必要とされ続ける要素を見極め、挿入していくことも大事だと思っています。
 
末光様の質問
羽鳥さんなりの環境建築ってなんなのか?
 
羽鳥さんの返答
スタンダードであることです。どう持続していくか。施主が持っていきたいと思うものをどう作っていくか。
 
違う立場から設計に携わるお二方のお話でしたが、どちらも「環境」を広い意味、変数を含むものとして取り扱おうとされている点が印象的でした。
 
続いて、スタジオのエスキスです。(二人分のエスキスしかメモをとれていませんでした。すいません。)
 
小松君

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建築は良くなってきている
共用部のパースをしっかり見せる
周囲との関係性を見せる
塔の素材を変えてみて、熱的にも解けるとよい
風が吹くところにコミュニケーションが生まれる
案に対する自己評価と他者からの評価がちぐはぐだとよくない。
風の塔っていうメタファーがキーワード
周囲から見た時に建物群がどう見えるのか?
風の塔がこの環境を変えていくというストーリーが必要
アルゴリズムは思考をプログラム化していること
 
 米澤君

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現象の面白さと熱環境のギャップ
全て透過する異質さ
これだけ無理してガラスを重ねる必要性に答えられていない
実証実験に見える
ガラスは今まで機能的に満たせていなくても空間的な需要を満たせていたから使われていた。
なぜ屋根までガラスなのか?
 
エスキスには、レクチャをしていただいた竹中様にも加わっていただき貴重なアドバイスをたくさんいただきました。
ご多忙の中、お時間をさいていただきありがとうございました。