6月27日 スタジオ内最終講評

 

本日のスタジオは、ポスターセッション直前のスタジオ内最終講評会でした。

一人あたり発表3分、講評12分とし、先生方にポスターセッションに向けたコメントをいただきました。

 

■一杉くん

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斜面によって上下二つに分断された地域に、上下をつなぐような建築を考える。

防災拠点も敷地から遠いこともあり、防災機能を持った施設(防災センター+地域交流施設)を提案する。

ボリュームを土に埋める操作をすることで、様々な場所を作り出す。

南からの風を受け止め、冬の北風を防ぐようなかたちを考えた。

エレベータとスロープで縦動線を確保し、そのまわりに様々な場所が生まれるように考えた。

地域住民の近くに防災拠点が存在することで、防災意識も高まる。

 

 

■矢吹くん

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マンションが普遍的に持っている問題を解決し、地域差をデザインに反映する計画である。

北面の問題点として、視線が気になることが挙げられるため、

目隠しをしつつ共用部を流れる気流を利用し、風を循環させることを考える。

南面のデザインは、上半分を日射制御装置、下半分を風の制御装置と考えデザインする。

日射制御の部分は、各地域の太陽高度に合わせて角度を変化させた。

 

■山本くん

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陶芸の職人たちが集う集落に、人々の集う施設を計画する。

工房で発生する大量の熱を施設内に巡らせることで、効率のよいエネルギー利用を考える。

オンドルのように地下に熱を通す計画である。

熱を通す空間を、登り窯を参照しながら設計した。

石の基礎上に陶器でつくったパイプを通し、そこに熱を通す計画とする。

陶器の多孔質性を活かし、夏と冬で断熱性が変わるように計画する。

 

■能上さん

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裸足で走り回れる小学校を設計した。

敷地は横浜、近くには川が流れ周囲は田んぼに囲まれている。

浸水危険エリアとなっていることから、高床状の小学校とし、浸水時を考慮した計画とする。

また、地形を堀り込むことで、浸水時の貯水機能や、小学校との関係性が多様化することを狙っている。

行き止まりにならない動線計画として、ループ状の設計とした。

高床のデッキはすのこ状とし、足下から気持ちの良い風が抜ける設計とした。

 

エスキス-------------------------------------------------------------------------------

□一杉くん

・防災センターを計画するときは、外部のライフラインから切断されたときにエネルギーが自給できるかということが議論される。

・プレゼンをするときは、ストーリーを整理しなければならない。

 防災センターの計画がメインなら、それを軸に説明した方がよいのでないか。

・何かを軸にして話を整理しないと、提案がつながりにくくなってしまう。

・サステナブルスタジオの課題ということと絡めてテーマを説明できないと、人に共感してもらうのは難しい。

 サステナブルスタジオとしての「売り」はないか

・タイトルの付け方も、自分の注目した要素を含んだタイトルとした方がよい。

・建築の全体像がこのプレゼンからではわかりづらい。

・土を掘るという操作で何を狙っているのか、きちんと説明できなければならない。

・地中の熱をうまく使っているというような印象を与える絵を用意しなければならない。

・まとめると、①タイトルを考え直す、②やりたいことを表現するような断面図をつくる、③プレゼンの強弱をつける

 

□矢吹くん

・たとえばルーバーの断面で独創性のあるものを提案するとか、何か自分が発明したことが必要なのではないか。

・アトリエワンのルーバーは、断面がS字型となっており、雨は防げて風と光が通るようなデザインとなっている(参考例)。

・ルーバーの角度の違いだけでは、設計課題の提案としては弱いのではないか。

・風と光で分けない方がおもしろいかたちとなるのではないか。

・操作対象をルーバーに絞るとしても、今操作しているのはピッチと角度というパラメータ。

 そのパラメータを操作することで劇的に変わるというような操作をしなければならないのではないか。

・外形自体が劇的でなくてもよいが、作った物を魅力的に見せる努力はしなければならない。

 

□山本くん

・陶器を使って断熱性を操作するはなしは面白い→論文を参照した(山本くん)

イヌイットのイグルーの段差は熱だまりをつくっているように見えるが、

 今回の断面を見るとうまく形態を利用出来ているように見えない。

 

□能上さん

・全体の断面図がなければいけないのではないか。

・全体的に説明的過ぎるのでは。(他の人にも言えること)

・高床の下の空間がどうなっているのか気になる。

・すのこ床というわかりやすいコンセプトを持っているから、それをうまく押せればよいのでは。

・この提案は風をメインにしているため、図面等でも、風が流れている様子を表現できたらよいのでは。

・すのこ部分のディテールをもっと工夫したほうがよいのでは。

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■石綿さん

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白と黒の色を用いて気流を生み出す提案。

白は耐火被覆を用い、黒には、耐火性能をもった焼杉を用いて計画する。

新宿区舟町の木密地域を敷地として、普段風の流れない場所に気流を生み出す。

 

■小松くん

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木密地域に通風の塔を設ける。塔は十字型の形状とし、空間としても変化を与える。

塔には10戸の住宅が接続する。

敷地は中野区弥生町。

 

■大國さん

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壁を傾ける操作で温度ムラを作り出す計画。

オビカレハという虫の巣の形状からヒントを得た。

ろうと状のかたちを用いることで、壁の日射の受けかたと、

日射を受ける屋根の面積が変化する。

上がすぼまったかたちと、下がすぼまったかたちの2種類のボリュームを用い、住宅を構成した。

 

■米澤くん

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ガラス空間は魅力的な空間を作る一方、環境工学においては扱いが難しい素材であった。

ガラスを入れ子状に重ねることで、ガラスを活かした住宅を提案する。

シミュレーションでの検証で、ガラスを10枚重ねると中心部の環境が安定することがわかった。

今回の設計では10枚のガラスを間隔を変えながら配置する。

狭いところは環境制御装置として、広いところは空間として利用できる。

 

 

エスキス----------------------------------------------------------------------------------------------

□石綿

・模型に関しては、操作前の街区と操作後の街区と両方つくったほうがいいと思う。

・上昇気流の矢印が単調すぎるのでは。

・ボリュームをずらしたりする操作に関してはダイアグラムで整理すること。

・大きいパースを描くのだから、その一枚でやりたいことがすべて伝わるようにしないといけない。

 

□小松くん

・塔のプロポーションがよくないのではないか。

・模型に関しては、塔の内部が見えるように、周りを透明に作ってもよいのではないか。

・図面は以前のような手書きの表現の方がいいのではないか。

・風の正圧と負圧が表現されているような絵があると良いのではないか。

・平面、断面と正圧負圧がうまく表現されていれば、良い提案となると思う。

 

□大國さん

・断面線と見えがかりが同じ太さで描かれていて、空間の構成がよくわからない。

・模型も、このようなパステルカラーは良くないのでは。

・断面図に太陽が入っていないのは致命的。

・方位による影響の方が大きく、夏の家冬の家ではなくなってしまったのは残念。

 

□米澤くん

・夏は中心部が涼しくなっているが、冬は全体が寒いように見える。

・何か冬に対して提案があったほうがいい。

・もし冬に対して何もアイディアがないのなら冬の結果は見せないほうがいいのではないか。

・シミュレーション結果の見方の説明を書いた方がよい。

・現在のダイアグラムをもっと詳しくしたほうがいい。

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■アリスさん

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ギリシャに5つのつながった住宅を計画する。

海風の方向に合わせて地面を掘りこみ、その地下空間で5つの住宅をつなげる。

同時に水の通り道としても計画する。

ギリシャの伝統的な住居を一旦解体し、新しいシステムに構成し直した。

それぞれの家は少しずつ別の方向に主軸を傾けて配置されている。

 

■小林さん

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カーテンが風になびくのが心地良いのは、物理的な現象に加えて、視覚的な気持ちよさがあると思う。

カーテンの形状を模擬したルーバーを持つオフィス空間を提案する。

ルーバーには冷水を流し、涼しい空間を作り出すと共に、ルーバーを曲線状に配置することで、

カーテンの下にいるような心地良いオフィスを考える。

 

■富山くん

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超高層マンションでは、高層階では風速がつよく、

窓を開けたり、外気を感じるような生活ができない。

マンションの住戸を分散的に配置することで、高層階でも風を減衰する提案である。

東西方向と南北方向で間隔を変化させる。

低層と高層で住まい方が変わる高層建築を提案する。

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最後に、先生方から総評をいただきました。

TAもコメントをしました。

 

■谷口先生

全体的に気になったのが、建築の最終形がプレゼンから見えないこと。

残りの期間でプレゼンのブラッシュアップをしてほしい。

自分が何を作ったのか的確に伝えられるように、コンテンツを整理してほしい。

 

■羽鳥先生

自分が提案していることが、世の中ですでになされている提案に対してどこが違うのか

わかりやすく表現できないといけない。

まずはそこを把握して、起承転結で話すことを練習すること。

絵を並べる順番なども工夫すること。

パネルセッションでは、多くの先生をつかまえて話を聞いてもらえることが大切。

その際、短く的確にコンセプトを説明できるように整理しておく。

 

■高間先生

皆のパネルを見ているとぱらぱらといろいろな絵があるが、

見せパースのような、強い絵が必要ではないか。

 

■末光先生

模型でもパースでもよいので、何か一つだけ、一番注力したコンテンツをつくること。

みな説明が多いパネルとなってしまているが、もっとシンプルに説明する努力を。

また、タイトルもぱっとコンセプトが伝わるように工夫して欲しい。

課題の主旨としてバイオミミクリーがあるため、そこからのつながりをプレゼンに含めて欲しい。

 

■前先生

自分が何がやりたかったか、よく考えることが大切。

 

■高瀬さん

自分がこの課題で何をやったのか、不明瞭な人が多いと思う。

簡潔に説明できるように整理してほしい。

 

■TA(代表:小原)

残り5日のアウトプットで結果は大きく変わると思う。気を抜かずに頑張って欲しい。

また、何段階か完成形にステップを持たせ、時間が間に合わないときは途中で提出しても体裁が整うように

計画したほうがよい。

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残りは5日。ここからがラストスパートです!

ここまでやってきたことが伝わるように、表現しきってください。

皆さんの発表楽しみにしています!