6月27日 スタジオ内最終講評

 

本日のスタジオは、ポスターセッション直前のスタジオ内最終講評会でした。

一人あたり発表3分、講評12分とし、先生方にポスターセッションに向けたコメントをいただきました。

 

■一杉くん

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斜面によって上下二つに分断された地域に、上下をつなぐような建築を考える。

防災拠点も敷地から遠いこともあり、防災機能を持った施設(防災センター+地域交流施設)を提案する。

ボリュームを土に埋める操作をすることで、様々な場所を作り出す。

南からの風を受け止め、冬の北風を防ぐようなかたちを考えた。

エレベータとスロープで縦動線を確保し、そのまわりに様々な場所が生まれるように考えた。

地域住民の近くに防災拠点が存在することで、防災意識も高まる。

 

 

■矢吹くん

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マンションが普遍的に持っている問題を解決し、地域差をデザインに反映する計画である。

北面の問題点として、視線が気になることが挙げられるため、

目隠しをしつつ共用部を流れる気流を利用し、風を循環させることを考える。

南面のデザインは、上半分を日射制御装置、下半分を風の制御装置と考えデザインする。

日射制御の部分は、各地域の太陽高度に合わせて角度を変化させた。

 

■山本くん

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陶芸の職人たちが集う集落に、人々の集う施設を計画する。

工房で発生する大量の熱を施設内に巡らせることで、効率のよいエネルギー利用を考える。

オンドルのように地下に熱を通す計画である。

熱を通す空間を、登り窯を参照しながら設計した。

石の基礎上に陶器でつくったパイプを通し、そこに熱を通す計画とする。

陶器の多孔質性を活かし、夏と冬で断熱性が変わるように計画する。

 

■能上さん

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裸足で走り回れる小学校を設計した。

敷地は横浜、近くには川が流れ周囲は田んぼに囲まれている。

浸水危険エリアとなっていることから、高床状の小学校とし、浸水時を考慮した計画とする。

また、地形を堀り込むことで、浸水時の貯水機能や、小学校との関係性が多様化することを狙っている。

行き止まりにならない動線計画として、ループ状の設計とした。

高床のデッキはすのこ状とし、足下から気持ちの良い風が抜ける設計とした。

 

エスキス-------------------------------------------------------------------------------

□一杉くん

・防災センターを計画するときは、外部のライフラインから切断されたときにエネルギーが自給できるかということが議論される。

・プレゼンをするときは、ストーリーを整理しなければならない。

 防災センターの計画がメインなら、それを軸に説明した方がよいのでないか。

・何かを軸にして話を整理しないと、提案がつながりにくくなってしまう。

・サステナブルスタジオの課題ということと絡めてテーマを説明できないと、人に共感してもらうのは難しい。

 サステナブルスタジオとしての「売り」はないか

・タイトルの付け方も、自分の注目した要素を含んだタイトルとした方がよい。

・建築の全体像がこのプレゼンからではわかりづらい。

・土を掘るという操作で何を狙っているのか、きちんと説明できなければならない。

・地中の熱をうまく使っているというような印象を与える絵を用意しなければならない。

・まとめると、①タイトルを考え直す、②やりたいことを表現するような断面図をつくる、③プレゼンの強弱をつける

 

□矢吹くん

・たとえばルーバーの断面で独創性のあるものを提案するとか、何か自分が発明したことが必要なのではないか。

・アトリエワンのルーバーは、断面がS字型となっており、雨は防げて風と光が通るようなデザインとなっている(参考例)。

・ルーバーの角度の違いだけでは、設計課題の提案としては弱いのではないか。

・風と光で分けない方がおもしろいかたちとなるのではないか。

・操作対象をルーバーに絞るとしても、今操作しているのはピッチと角度というパラメータ。

 そのパラメータを操作することで劇的に変わるというような操作をしなければならないのではないか。

・外形自体が劇的でなくてもよいが、作った物を魅力的に見せる努力はしなければならない。

 

□山本くん

・陶器を使って断熱性を操作するはなしは面白い→論文を参照した(山本くん)

イヌイットのイグルーの段差は熱だまりをつくっているように見えるが、

 今回の断面を見るとうまく形態を利用出来ているように見えない。

 

□能上さん

・全体の断面図がなければいけないのではないか。

・全体的に説明的過ぎるのでは。(他の人にも言えること)

・高床の下の空間がどうなっているのか気になる。

・すのこ床というわかりやすいコンセプトを持っているから、それをうまく押せればよいのでは。

・この提案は風をメインにしているため、図面等でも、風が流れている様子を表現できたらよいのでは。

・すのこ部分のディテールをもっと工夫したほうがよいのでは。

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■石綿さん

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白と黒の色を用いて気流を生み出す提案。

白は耐火被覆を用い、黒には、耐火性能をもった焼杉を用いて計画する。

新宿区舟町の木密地域を敷地として、普段風の流れない場所に気流を生み出す。

 

■小松くん

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木密地域に通風の塔を設ける。塔は十字型の形状とし、空間としても変化を与える。

塔には10戸の住宅が接続する。

敷地は中野区弥生町。

 

■大國さん

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壁を傾ける操作で温度ムラを作り出す計画。

オビカレハという虫の巣の形状からヒントを得た。

ろうと状のかたちを用いることで、壁の日射の受けかたと、

日射を受ける屋根の面積が変化する。

上がすぼまったかたちと、下がすぼまったかたちの2種類のボリュームを用い、住宅を構成した。

 

■米澤くん

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ガラス空間は魅力的な空間を作る一方、環境工学においては扱いが難しい素材であった。

ガラスを入れ子状に重ねることで、ガラスを活かした住宅を提案する。

シミュレーションでの検証で、ガラスを10枚重ねると中心部の環境が安定することがわかった。

今回の設計では10枚のガラスを間隔を変えながら配置する。

狭いところは環境制御装置として、広いところは空間として利用できる。

 

 

エスキス----------------------------------------------------------------------------------------------

□石綿

・模型に関しては、操作前の街区と操作後の街区と両方つくったほうがいいと思う。

・上昇気流の矢印が単調すぎるのでは。

・ボリュームをずらしたりする操作に関してはダイアグラムで整理すること。

・大きいパースを描くのだから、その一枚でやりたいことがすべて伝わるようにしないといけない。

 

□小松くん

・塔のプロポーションがよくないのではないか。

・模型に関しては、塔の内部が見えるように、周りを透明に作ってもよいのではないか。

・図面は以前のような手書きの表現の方がいいのではないか。

・風の正圧と負圧が表現されているような絵があると良いのではないか。

・平面、断面と正圧負圧がうまく表現されていれば、良い提案となると思う。

 

□大國さん

・断面線と見えがかりが同じ太さで描かれていて、空間の構成がよくわからない。

・模型も、このようなパステルカラーは良くないのでは。

・断面図に太陽が入っていないのは致命的。

・方位による影響の方が大きく、夏の家冬の家ではなくなってしまったのは残念。

 

□米澤くん

・夏は中心部が涼しくなっているが、冬は全体が寒いように見える。

・何か冬に対して提案があったほうがいい。

・もし冬に対して何もアイディアがないのなら冬の結果は見せないほうがいいのではないか。

・シミュレーション結果の見方の説明を書いた方がよい。

・現在のダイアグラムをもっと詳しくしたほうがいい。

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■アリスさん

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ギリシャに5つのつながった住宅を計画する。

海風の方向に合わせて地面を掘りこみ、その地下空間で5つの住宅をつなげる。

同時に水の通り道としても計画する。

ギリシャの伝統的な住居を一旦解体し、新しいシステムに構成し直した。

それぞれの家は少しずつ別の方向に主軸を傾けて配置されている。

 

■小林さん

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カーテンが風になびくのが心地良いのは、物理的な現象に加えて、視覚的な気持ちよさがあると思う。

カーテンの形状を模擬したルーバーを持つオフィス空間を提案する。

ルーバーには冷水を流し、涼しい空間を作り出すと共に、ルーバーを曲線状に配置することで、

カーテンの下にいるような心地良いオフィスを考える。

 

■富山くん

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超高層マンションでは、高層階では風速がつよく、

窓を開けたり、外気を感じるような生活ができない。

マンションの住戸を分散的に配置することで、高層階でも風を減衰する提案である。

東西方向と南北方向で間隔を変化させる。

低層と高層で住まい方が変わる高層建築を提案する。

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最後に、先生方から総評をいただきました。

TAもコメントをしました。

 

■谷口先生

全体的に気になったのが、建築の最終形がプレゼンから見えないこと。

残りの期間でプレゼンのブラッシュアップをしてほしい。

自分が何を作ったのか的確に伝えられるように、コンテンツを整理してほしい。

 

■羽鳥先生

自分が提案していることが、世の中ですでになされている提案に対してどこが違うのか

わかりやすく表現できないといけない。

まずはそこを把握して、起承転結で話すことを練習すること。

絵を並べる順番なども工夫すること。

パネルセッションでは、多くの先生をつかまえて話を聞いてもらえることが大切。

その際、短く的確にコンセプトを説明できるように整理しておく。

 

■高間先生

皆のパネルを見ているとぱらぱらといろいろな絵があるが、

見せパースのような、強い絵が必要ではないか。

 

■末光先生

模型でもパースでもよいので、何か一つだけ、一番注力したコンテンツをつくること。

みな説明が多いパネルとなってしまているが、もっとシンプルに説明する努力を。

また、タイトルもぱっとコンセプトが伝わるように工夫して欲しい。

課題の主旨としてバイオミミクリーがあるため、そこからのつながりをプレゼンに含めて欲しい。

 

■前先生

自分が何がやりたかったか、よく考えることが大切。

 

■高瀬さん

自分がこの課題で何をやったのか、不明瞭な人が多いと思う。

簡潔に説明できるように整理してほしい。

 

■TA(代表:小原)

残り5日のアウトプットで結果は大きく変わると思う。気を抜かずに頑張って欲しい。

また、何段階か完成形にステップを持たせ、時間が間に合わないときは途中で提出しても体裁が整うように

計画したほうがよい。

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残りは5日。ここからがラストスパートです!

ここまでやってきたことが伝わるように、表現しきってください。

皆さんの発表楽しみにしています!

 

 

6/25 TAエスキス

625()のスタジオの内容です。

今日はちょうど提出前一週間前です。みなさんかなり作業に追われているのか、エスキス参加者は4名でした。

 

大國さん

 

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設計案に対するシミュレーションが上手くまわらない。

夏の家/冬の家というよりは、できた温度ムラに適応して住むということを考える。

二世帯住宅を考える。

寝室は暖かめのところに、子供の部屋は寒めのところに。

夏と冬でダイニングとリビングが入れ替わる。

上下の温度ムラよりも方位による温度ムラの方が大きい。

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延べ床面積的に東京ではない敷地。

周りの建物に影響されず、大きい住宅が置かれていても不思議ではない敷地を選定する。

プレゼンについて、斜めの壁が当初より主ではなくなっているので、どの程度強調するか考える。

パースは一枚ではなく、生活の様子が読み取れるようなものをたくさん描く。

図面が堅い印象を与えるので、平面パースにしてパース等とテイストを揃える。

木曜日までにパネルは完成させる勢いで、その後に模型に取り組む。

 

能上さん

 

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高床の小学校の地面を掘ることで、より風通しを良くする。

少し低くなった地面は風の通る空間となり、また洪水時に貯水槽となる。

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周囲の地形に合わせて地面を掘る。

周囲の地形が低くなっているところに合わせて風の通り道をデザインする。

すのこのピッチは6mm、場所によっては変えてもいいかもしれない。

すのこのピッチによって変わる風環境を表現する。

屋根のテクスチャはすのこと同じテクスチャでもう少し淡い色で表現する。

木曜までに図面・パースを進めること。

 

矢吹君

 

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ルーバーによって地域差を出した集合住宅。

光で断面のデザインを、風で平面のデザインをする。

東京は冬の日射を利用して光と熱を取り込む設計。

福岡は夏の日射が強く、夏を第一とした設計。

札幌は日射を取り込みたいので、今のところルーバーなしの設計。

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レンダリングで表現してみる。

立面は模型写真で表現。

現状断面平面で表現しているものを、縮小してダイアグラムとしてのせる。

4層の操作の表現が悩ましい。

普遍的な操作と地域的な操作を対等な層としてみなした設計を行う。

そのためにはあと二つの層が必要。

話を整理したダイアグラムをまずのせる。

 

一杉君

 

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4つのエレベーターがあって接続するところにボリュームが現れる。

分散されていた方が空間としては気持ちいいが、理由として弱い。

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各部屋が土に触れる面積を最大化するために分散させる。

設計を早く決めてプレゼンを作り始める。

パタパタしたファサードが、開口になったり手すりになったり。

まずはプランを描くところから詳細に設計していく。

OMAの動線ダイアグラムを参考にしてみては。

プレゼンについて、敷地説明コンセプトが長いので、もう少し出来た建築の割合を増やす。

木曜までには設計とパネルの途中までは必ず終わらせてくる。

 

木曜日はスタジオ内最終講評です!

出来る限り最終提出と同じアウトプット(A0と模型)を揃えられるよう、今日明日とがんばりましょう!!

ラスト一週間のがんばりで作品の出来は大きく変わります。ラストスパートがんばりましょう。

6/20 エスキス

山本君
陶芸家の集まる集落に登り窯の原理を利用した住宅兼小規模公共施設を設計する。

登り窯のここがいいんですってことをまだいいきれていない

斜面に対してボリュームを配置していく原則を早く見つける。

例えば、等高線に対して直角に経路を設計するとか。
熱の上昇する経路から制約を見つけるとか
登り窯っぽい配置方法のほうがよいのではないか?
熱はオンドルの仕組みを応用し、床下空間を通す
 
小松君

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風速計持参で敷地に行ってきた。
風の塔を配し、風を取り込むような集住を考える。
塔のデザインのバリエーションを考え、シミュレーションを行った。
アールを持った十字型をデザインボキャブラリーとして使おうと考えている。
 
・この提案の弱いところは、十字で出来ているスペースにおいて、かたちと空間が結びついていないこと。
 どういった行為が行われる場所か、それにこのかたちがどう生きているのか。
・煙突のデザインだけしているように見えてしまうともったいない。
・可能性としては、今の十字型を建築的なアイディアとしてジャンプさせていくことが一案、または煙突は煙突のデザインとして、
 別の要素の設計を詰めていく(周りの街区との接続等…)
・もし十字を建築化するのなら、45°のばってんを周りのプランにまで反映させていくことが考えられると思う。
 
石綿さん
風が全く吹かない敷地の建物に白、黒を着色することで、温度差を発生させ、気流を起こす。
・敷地選びでもう迷うべきではない。風情がない場所を敷地にしたほうがよい
・減築は基本的にリフォームに伴うもの。今回の提案のメインにはならない
・日射の解析を早くして色を塗るべきところの判断材料とするべき
 
 
矢吹くん

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地域ごとに気候風土も違うはずなのに経済原理によって画一化した集合住宅に環境的要素を組み込むことで差異を出す設計
 
各地域の気候の細やかな違いをファサードに反映させたい
北面のファサード操作をすることでプライバシーを保ちながら通風を確保する
内部の話にも言及したほうが良い
普遍的な問題に対して誰もやっていないくらいの高解像度で検証するべき
101号室、602号室の違いまで顕在化するような設計
1つのアイデアでたくさんの問題を解けていたほうがいい
ルールを発見できず、我流のルールでやっているから設計が進まない
 
■大國さん

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前回から設計を進めてきた。
夏用のボリュームと冬用のボリュームを市松状に配置した案とした。
 
・模型は断面が見られるようにつくるとよい。
・図面では、領域を色分けするなどして建物の構成を示すようにするとわかりやすい。
・模型の内部にも同様の色分けをするとよい。
・屋根のラインを太い線にするなどして、図面表現に気を配る。
・サブタイトルに、夏の家、冬の家といったキーワードを入れるとよいのではないか。
・図面に、空間の温熱感や行動のコメントを入れていくとよい。
 
■能上さん

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前回から引き続いて、二つのパターンに関してプランを考えてきた。
すのこ部が行き止まりにならないほうがいいのではという話から、ループ状のデッキを考えている。
 
・ぱっと見て、風を取り入れやすそうなかたちをしていた方がいいのではないか。
 
 
■小林さん
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設計を進めてきた
プログラムは小さな事務所を考えている。
カーテンの部分に対してガラスが交わり、内外を分けている。
その間の空間にも、オフィスを当てはめるなどした。
 
・カーテンの部分は地面にくっついてしまうのか。浮く部分があったほうが良いと思う。
・カーテンとガラスをクロスさせるより、交わらせない構成のほうがいいのではないか。
 カーテンとガラスの間の部分が、テラスなどの半屋外空間となる。
・厳密にシミュレーションで解くというより、筋道をたてて考えられたかが重要だと思う。
 極端なことを言うと、2次元でのシミュレーション(wind tunnel) でもいいと思う。
・構造を示すシングルラインで描いた図と、カーテンの部分のディテールはプレゼンに絶対に必要。
・形状の決定のダイアグラムと、断面ダイアグラムも必要。
 
 
■米澤くん
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設計を進め、モックアップ作成を進めている。
 
・空間が複雑過ぎて、コンセプトがわかりにくくなっているのではないか。
・説明のストーリーを考え、わかりやすく整理すること
 
 
■アリスさん

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前回のエスキスを受けて、それぞれの住戸をつなげる案を考えてきた。
今回の敷地周辺では道路によって、街の上側と下側で、街が二つに分かれてしまっている。
道路どうしを結ぶようにボリュームを配置し、地下の動線で街の両側をつなぐようにする。
この地域では、勾配に沿って水が流れており、各家がチャンネルを開いたりして水を取り入れている。
この提案での地下空間はそのように機能することを考える。
風が水の上を流れることで、乾燥した空気に湿度を与える。
 
・トレンチ(地下空間)のデザインが重要になってくる。
・話を整理すると、トレンチを決める→それに沿ってボリュームを配す→建物のディテールを決める、という順番となる
・ボリュームの配置では、それぞれがちょっとずつ違う方向に向いていることに対して、ランドスケープの点から説明できる。
・デザインはほとんどできているので、プレゼンテーションをどうするかを組み立てる。
・シンプルなダイアグラムにまとめる。
 
スタジオも残りわずかです。皆よく考えられていると思うのでしっかり人に伝えられるようにどんどん手を動かしていきましょう。
 

TAエスキス

6月18日、本日のスタジオはTAエスキスでした。

 

■石綿さん

 

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今までは色だけのスタディだったが、空間に関係してこないと思い、

今回は表面積を操作するスタディを考えた。

敷地は西早稲田。減築して受熱面を増やすというストーリーを考えている。

 

前回の羽鳥先生のエスキスでは、どこまで設計のルールづくりができるかが大切だと言われた。

末光先生のエスキスでは、色だけではこれ以上のステップアップは難しそうだから、表面積を考えてみたら空間に違いが生まれるのではないかと言われた。

 

・色を塗るルールをきちんと決めなくてはいけないのではないか。

・今の操作で受熱面は本当に増えているのか。

・まずは減築したときのボリュームを具体的に考えること。

・ボリュームと色を決めるのは日射積算のシミュレーションでよいのではないか。

 日射の多いところの色を黒にするというルールで色の塗り方を考えて、最終設計に対して熱のシミュレーションをすればいいのではないか。

・いったんパースを描いてくること。白と黒の街となったとき、人の行動にどう変化が起きるのか。設計から計画学的な提案にどう接続できるか、発想することも必要。

・現在の敷地だと、すぐ近くに緑地があるので、そちらのほうが効果があるのではないかと見えてしまう恐れ。

 

 

 

■米澤くん

 

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ガラスのモックアップを作成している。

ガラスのインターバルを変更できるようにガラスが抜き差しできる機構と、回転できるようなピンの機構を考えている。

加えて、CGの作成を進めている。

前回のエスキスで、シミュレーション結果のビジュアルと、プランにギャップがあると言われた。

 

・シミュレーション結果は、ファイリングしてプレゼンの時に持参すればいいのではないか。

・パネルには、直接の結果は載せず、プランに水彩で描き込むなどして表現の雰囲気をそろえたほうがよい。

・明後日までにプランを書いてくる。また、パネルのたたきを作ってくる。つくるコンテンツの整理とスケジュールの整理。

 

■能上さん

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高床、床がすのこ状の小学校。裸足で過ごせる小学校をつくるという提案。

前回末光先生のエスキスで、風の流れを意識できるようなボリューム配置を考え、2パターン考えてくるということになった。

今なやんでいることとしては、シミュレーション上ですのこから風が入ってこない状態。

 

・象設計集団の笠原小学校が参考になるのではないか。

 この建築は境界面の設計が豊か。水辺があったり、ちょっと奥まっているところがあったり。

・現在はC字となっているが、端が切れてしまわない方がいいのではないか。

 すのこ部だけでもつなげた方がいいのではないか。

・現在設定されている内外の境界は必要あるのか。すのこの一部が室内化されてしまう状態では、すのこに風が抜けなそうに思う。

 コンセプトが弱まってしまいそう。

 セキュリティを考えるなら、ルーバーで仕切るというような考え方もあるのではないか。

・教室はつなげないで、ひとつひとつばらしたほうがいいのではないか。教室間にも風が抜けそう。

・すのこ領域と教室領域の間に、中間領域も考えられるのではないか。庇がすのこにかかっているとか。

・地面を掘りこんだりグラウンドに盛り土をしたりして、地形と、動線のループの関係性を考えると面白くなるのではないか。

・すのこは、ピッチや角度等まで決定できたらよい。次回はディテールを考えて持ってくること。

 

■小松くん

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風速計を持参して敷地に行ってきた。

木密が10件ほど密集している場所で、旗竿敷地から旗竿敷地が派生している状態。

小さなスケールで構成された街区。

ボイドが三次元的に連続して風が流れているように思った。

設計案に関して、プランを書いてきた。通風塔を3つ設置。

外の人が通れるような動線を中に設けた。

 

・商店街との関係は考えないのか。

・入ってきたのとは別の道に抜けられたりというようなプランの考え方。

・住環境のバリエーションをもっと出してみる。

・塔のバリエーションも考えられたらよい。

・塔は、風だけでなく、光など様々なものを取り入れる「環境の塔」と考えるとよいのではないか。

・坪庭の成立ルールなど、まだ曖昧な部分が残る。

・住戸一つ一つのボリューム配置はどうなっているのか。もうちょっとボリュームどうしの関係を立体でわかるように。

・次回までにダイアグラムと断面図を整理してくること。

 

■矢吹くん

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集住のバルコニーに関して提案を考えてきた。

バルコニー部分にもう一層レイヤーを考え、バルコニー空間を気候制御の緩衝空間とする。

 

・ストーリーはよく整理されている。

・現状から大きく変える提案ではないため、プレゼン映えさせるようにすることが重要。

 決めパースを描くというより、バリエーションの豊かさを提示できるようなプレゼンを考える。

・既存プランはいじらずに、ベランダだけでなく、玄関側にももう一層考えればいいのではないか。

・層単位で操作するというのはキーポイントである。

・内部の生活まで想像が及んでいることを示すためには、内部の表現が必要となってくる。

・動かない部分と、可動の部分を考える。

・プレゼンのビジュアルを考え、パネル案をつくってくる。

 

 

■一杉くん

 

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プログラムを保育園にするかどうか悩んでいる。

防災に関して調べてきた。

だんだんプログラムに関しては何でもありなような気もしてきている。

 

 

・かたちに関しては、EV、階段、スロープが部分的にあるような構成もありうるのではないか。

・ストーリーはよく整理されている。

・保育園だと、単純に床面積が足りていないのではないか。

・スタディするときの制約が少なくて決めきれないのではないか。面積を押さえたほうがいい。

・老人がたまるような場所をデザインできたらよいのではないか。

・擁壁がぱたぱたとはがれるようなデザインは面白いと思う。西日だけにこだわる必要はないのではないか。

・木曜までに、具体的な設計を進めてくる。また、模型もつくってくる。

 

■藤山くん

 

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新木場で集合住宅を考える。

ここでは、住宅と木材の量が反比例関係にあるのではないかと思った。

敷地の特性として、木のにおいが挙げられる。

風の流れと関連して、木のにおいをどうやって広げるかを考えている。

シミュレーションを進めてきた。

下から風を当てて上ににおいを拡散させる…等。

 

・においの溜まりやすい場所と溜まりにくい場所が生じるだろうが、

 共用部に木材のにおいが漂えばいいのではないか。

 全体ににおいが拡散するというより、場所ごとの特性がうまれるといいと思う。

・まずは具体的な設計を進めてくる。

 

 

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残りのエスキスもだんだん減ってきましたね。

次の木曜は、設計案自体を見てもらえる、実質的に最後のエスキスです。

最終成果物を見据えて、計画的にエスキスの場を利用できると良いと思います!

引き続き頑張ってください!

 

 

 

 

 

 

130613 Ans Studio 竹中様+日建設計 羽鳥様レクチャ

6月13日(木)、本日の前スタジオは、以下の内容でした。

・Ans Studio竹中様レクチャ

日建設計羽鳥様レクチャ

 

まずはAns Studio竹中様のレクチャです。

「コンピューテーションとデザインの可能性」

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 武蔵野美術大学で教えたあと、コロンビア大学で3年半コンピューテーショナルデザインを勉強。日本に帰国し、コンピューテーショナルデザインを用いて設計を行うAns Studioを岡部さんと設立。現在まで単独、協同で建築をとりまく多様なプロジェクトに関わってきました。
 
興味を持っている分野としては
Network based architectural design
Computational architectural design
Digital Fabrication
Robotics
があり、それぞれの分野で研究と実践を行なっています。
 
コンピューテーショナルデザインという分野において日本はすごい遅れています。
建築を取り巻く条件を建築に取り込めないか?ということに興味を持っています。
例えば、「自然」
歴史上、たくさんの建築家が自然について語っています。
当時コンピュータがない時代、コンピュータがないなりにスケッチなどで自然を把握しようとしていました。そうした観察、分析の上に、数多くの名建築が設計されてきました。

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 レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチした水
 
技術が進歩した現代において、コンピューテーションで建築はどう変わるのか?というテーマを持って設計に取り組んでいます。
例えば、形の振舞い方をデザインすることができるのではないかと考えています。以下に実作を紹介します。
 
木漏れ日プログラム
-小学館神保町3-3ビル ファサードデザイン-
環境データと連動して風形、光形を生成する乱数を作り、外装パネルの20万個の穴の大小決定に利用しました。

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種まきプログラム
-ソニーシティ大崎 外構計画-
いかにして都市に自然を感じる森を生成するか?というのがこのプロジェクトのテーマでした。

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このプロジェクトでは木の持っているネットワーク、空間情報データなどから乱数をデザインしてます。この乱数を用いることで、何万通りもの計画を生成することができるのですが、最終的には一つの案を導かなければなりません。その決定、収束のさせ方こそがデザインとなります。
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羽鳥様
まず、二年目で担当した大規模な集合住宅のプロジェクトについて発表します。
このプロジェクトを通して、よくも悪くも集約することの面白さを感じました。例えば、個別であれば全く問題にならないようなことが問題となります。
当時、生ゴミ専用のダストシュートを各戸に設置したのですが、あまりにも規模が大きいため、行政から指導が入りました。それを逆に利用して、集合住宅内で浄化するシステムの導入を提案しました。小規模で導入すると世帯あたりの負担が大きくなりますが、この規模だと世帯あたり100円に満たなかった。
また、ビル風対策も考える必要があったのですが、そこでの評価指標は「ビル風被害で訴えられない」という条件でした。「環境配慮」と一言に言ってもそれが含む意味は多様であり、その複合体である建築を最終的に「環境によい」ということの難しさを体感しました。
 
こうした経験から思うのは、環境にいいということを少ないパラメータでは表すことができていないということです。そのため、政治によってそ決定、切断を下さざるをえない。
 
ソニービル
このプロジェクトでは「環境にいい建築である」ということで、補助金をもらいました。
先程も言いましたが、環境にいいという複雑な指標を誰が決めることで補助金が出ています。設計者側としても補助金がとれるかどうかという政治的な切断が必要となってきます。
 このビルは都市のヒートアイランド現象の抑制に寄与するという画期的なコンセプトに基づいて設計したわけですが、50年、100年後に都市がどうなっているかなんてわからない。50年後も必要とされ続ける要素を見極め、挿入していくことも大事だと思っています。
 
末光様の質問
羽鳥さんなりの環境建築ってなんなのか?
 
羽鳥さんの返答
スタンダードであることです。どう持続していくか。施主が持っていきたいと思うものをどう作っていくか。
 
違う立場から設計に携わるお二方のお話でしたが、どちらも「環境」を広い意味、変数を含むものとして取り扱おうとされている点が印象的でした。
 
続いて、スタジオのエスキスです。(二人分のエスキスしかメモをとれていませんでした。すいません。)
 
小松君

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建築は良くなってきている
共用部のパースをしっかり見せる
周囲との関係性を見せる
塔の素材を変えてみて、熱的にも解けるとよい
風が吹くところにコミュニケーションが生まれる
案に対する自己評価と他者からの評価がちぐはぐだとよくない。
風の塔っていうメタファーがキーワード
周囲から見た時に建物群がどう見えるのか?
風の塔がこの環境を変えていくというストーリーが必要
アルゴリズムは思考をプログラム化していること
 
 米澤君

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現象の面白さと熱環境のギャップ
全て透過する異質さ
これだけ無理してガラスを重ねる必要性に答えられていない
実証実験に見える
ガラスは今まで機能的に満たせていなくても空間的な需要を満たせていたから使われていた。
なぜ屋根までガラスなのか?
 
エスキスには、レクチャをしていただいた竹中様にも加わっていただき貴重なアドバイスをたくさんいただきました。
ご多忙の中、お時間をさいていただきありがとうございました。
 

 

TAエスキス

6/11()TAによる設計案エスキスです。

 

○石綿さん

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もともと暗い色の木密街区を、白い色の耐火被覆で覆う。

街区の中で、黒いビルに囲まれた白い家ができて、気流が生まれる。

色の話より、外側のビルがRC、内側の家が木造で熱容量によるところが大きいかもしれない。

敷地候補は白山。

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ビルと住宅が接するところが面白い。

高さの違いと色の違いで風の流れができる、その関係性をデザイン。

全部の面が黒い必要があるのか、ビルとビルの間の面は黒である必要がないのでは。

もともと白いものを黒く塗るストーリーは成り立ちづらい。

真っ黒でないにしろ、もともとある程度色のあるものに白い耐火被覆を挿入していくというストーリーでよいのでは。

敷地は典型的な木密の方が良い。地形も絡んだ木密、東池袋など。

気流だけでなく、木密の空き家問題など、プログラムにも踏み込んだ提案まで行けるとベスト。

風が溜まるような地形を相手にするよりは、本来木密が持っているポテンシャルを生かしたほうが良い。

住宅の壁にだけこだわるのではなく、耐火性能をもった帯を街区に挿入するなど、中だけではなく外にも向かっていく可能性もある。

帯なら、もしかしたら黒くすることもできるかも。

黒い帯と白い帯が違った意味合いを持っていて、避難経路を示していたりすることもできる。

ある程度グリッドに近い街区を持った月島なんかを敷地にすると良いのでは。

気流を起こす上で、壁面が支配的なのか、屋根面が支配的なのか早めに把握すること。

 

○山本君

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登り窯の排熱を利用。

だがそもそも登り窯が現在あまり残っていない。

登り窯が1000℃近くなると、周囲は200℃という温度になってしまう。

現在の敷地だと登り窯を利用できそうにないので、敷地を考え直した。

新しい敷地は京都。民家と窯しかない。

去年の夏に土砂崩れが起き、復興の途中である。

登り窯の形を継承する。

一番下に登り窯、その上に施設、一番上に住居が来る。

職人が10人規模ですむ住居。

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何年先を見据えるかで建築は変わってくる。

土木スケールのものは50100年変わらないが、建築スケールなら2030年でも変わりうる。

縮小化の流れに抗えるのか。

縮小化のデザインをするのか、それに抗って人を集める建築を目指すのか。

今この土地にあるもの、必要なものだけを設計しても、人が集まってくるビジョンにはなりえない。

芸術家・陶芸家が集まって暮らしている事例の中で、どの辺りを目指すのかまずは相対化する。

京都から20分という魅力的な立地の中で、観光客を含めた外部の人をいかに取り込むか、今の施設だと見えてこない。

隔離されていることを逆手にとって、京都とは違った観光地として確立させる。

長期的な展望を示しつつ、まずは敷地に行ってみては。

なぜ登り窯が焼き物に良いのか、その構造も把握する。

 

○米澤君

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ガラスの入れ子住宅。

一番内側の安定した空間だけ用途が決められ、それ以外の部分は季節・時間帯ごとに快適な場所が変わってくる。

一番内側にダイニング・キッチンが配される。

実際のガラスを9枚並べて、9枚越しに光を当ててみると、拡散して光源がたくさんに見える。

シミュレーションを行うと、層ごとに温度の違いがみられた。

屋根を傾斜させた理由。北向きに傾斜させることで高度の高い太陽光の反射率を増やす。

一番外側が夏暑くなるので、外側の層の使い方は考え中。

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一番内側にリビング等が配されてしまうのはつまらない。

キッチンも何個もあってもいいのでは。

結局温度ムラの中で暮らすというが、25℃のところを選択するのでは。

それが空調された空間と何が違うのか。暑いから/寒いから移動するというの以上の意味を見出したい。

見え方のスタディをする。

レンダリング・模型・モックアップ、全部かっこよく見えるように。

本番模型は土台をしっかり作りこむ。

 

○小松君

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敷地に行ってみたが、意外と旗竿敷地に風が流れていた。

設計プロセスを変えた。

住宅の中にヴォイドを挿入するところから始め、ヴォイドではなく風の通り道となる廊下を設けた。

内部空間・廊下・外部空間が入り混じり、内部にまで風を取り込む。

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なぜ風が吹くのかわかれば設計の手がかりになりそう。

周りの建物の高さによって吹く風が変わる。

周りの街区が大事。

土地ごとにいくつかのモデルをつくてみる。

イメージのプランではなく、周囲の街区に合わせた設計を始める。

プランだけでなくセクションでのスタディも。

何を良くしたか、この操作にどんな意味があるのか見せ方を考える。

フィールドワークで感じた身体感覚を、定量的に、グラフィック化して相手に伝えられるようにする。

 

○一杉君

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たくさんの形のスタディをしてきた。

スラブが積層するだけでなく、トラスのような構造体が斜面に林立する形。

風のスタディまでは行ってないが、影のスタディをした。

また動線に接するヴォリュームのスタディも行い、ヴォリュームと動線両方の面から形を決める。

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ジグザグでは無理があるのではないか。

緩やかな傾斜の一本道とかはどうか。

プログラムの保育園に対して、普通に平坦な土地の方が園児は遊びやすいのでは。

急斜面に建築を建てることがまず難しい上、そのプログラムの妥当性を担保しなければならない。

エレベーターと接続する空間を用意してみる。

ヴォリュームのスタディは良いので、同線のスタディをもう少し増やす。

 

○アリスさん

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地下空間ではワークショップが行われる。

地下空間に風を流すには、室を中心に配置し、その両側に隙間を設けるとよい。

続いてマテリアルのスタディを行った。

地中が石の冬の家、地上が木造の夏の家になる。

一年中すべての室を有効に利用するにはどうしたらよいかを考えた。

ファサードを可変なものにすることで、風の流れをコントロールし、室内に入る風を調整する。

二つの家が接続するところはコモンスペースとして、両方の家に利用される。

細い竹を用いた大小二重のファサードで日射遮蔽する。

時間があれば複数の住居を設計し、風の流れやコミュニティシステムまで踏み込みたい。

農業が盛んなこの土地では、冬になると住民が町へ進出してしまう。

そのため、冬でも暮らせるような家を設計。

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案のディベロップの仕方は二つ。

一つ目はコミュニティを考えて、複数の住宅を設計すること。

山と海の繋がりを考える。

二つ目はシミュレーションの領域を拡大して、ルーバー等までシミュレーションすること。

 

○大國さん

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45層の集合住宅。

斜めのヴォリュームはシェアスペース、直方体のヴォリュームはプライベートスペース。

斜めの壁の角度は季節ごとの太陽高度で決まっている。

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円柱よりも昔のようなヴォリュームの方が良いのでは。

今のヴォリュームだと季節性や方位性が損なわれてしまう。

リサーチの結果に立ち返って、斜面の特性から設計する。

全部の面が傾いている必要があるのか。

温度成層をより大きくするために4層にしている割に、スラブが入ってきていてそうなるようには見えない。

アクティビティを繋ぎつつ、温度成層を作るためには、何かしら空気がつながっていなくては。

ある程度具体的な家族を想定して、各人の具体的なアクティビティに踏み込んで解像度を上げる。

 

○富山君

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中高層ビル街の建て替え。

もともとの床面積を担保しつつ、ずらしていくことで光・風のあふれるオフィスとする。

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スラブをずらしていくルールを設ける。

アルゴリズムとかまで行かずとも、説明できる要素を。

ただ今の提案だと、最適解だと言えないと説得力に欠ける提案に聞こえてしまう。

今までのスタディでは一層でしか見られていなかったので、上下のつながりを解く。

風・熱・光すべてを解くのは時間的にも難しいので、スタディのポイントを絞る。

今までのスタディを、外部空間を使うための風環境として利用できるかもしれない。

高層階での風の付き合い方から風とライフスタイルをつなげられないか。

 

以上です。

 

次回は6/13()で、羽鳥さんとAnSスタジオの竹中様にレクチャしていただきます。

西沢大良様レクチャ+エスキス

6月6日(木)、本日の前スタジオは、以下の内容でした。

西沢大良様レクチャ

・エスキス

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西沢大良様レクチャ

「contemporary building-type in wood」

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環境というと、環境工学、エネルギー消費というような多くの意味がある。

いずれ収斂していくだろうが、本日は実作を通してレクチャを行う。

実作では、木を用いた建築を考えてきており、在来木造をつかって構成してきた。

 

■building type、建築型とは

20世紀では機能的な建築タイプのことを指していた。

近世では、身分や階級によってそもそも住む区画や建物が決まっていた。

階級的なbuilding typeに人々を振り分けたのが近世である。

それが近代都市において、機能的なbuilding typeに変遷してきた。

これからは、環境的なbuilding type が生まれてくるのではないか。

日本で、近代建築以降の建築型をやるとしたら木造にあると思っている。

 

■FORESTRY HALL 2002~2004

砥用(ともち)町

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植林による杉山がある場所であり、人工的に作られた丘といえる周辺環境を持つ。

林業の町において、地元の杉材を用いるという要求の上、林業総合センターを設計した。

用途は体育館。

人工的な丘でもあり、自然環境とも呼べる「丘」が周囲を取り囲んでいることが

特徴だと思った。

 

建築は、自然100%の場所に建つわけではない。

畦道もあれば、電線や電柱が立っている。

コンテクストという意味では、自然環境ということにも、人工環境ということにも答えなければいけない。

誰もできなかったような木造建築をつくれば、

後世仮に林業が廃れてしまった後でも、

林業の栄えた町があったということが否応なしに伝わるのではないかという施主の考えがあった。

また、予算的にも構造を露出させざるを得なかった。

 

この建物は、コンクリートを一切使っていない。

上部構造を木造としたことで軽い構造となり、基礎にもコンクリートを打たなかった。

通常基礎部にかかるコストを上部構造に振り分けることで完成している。

 

厳密には混構造、軽量鉄骨と木造である。

外側に鉄骨の華奢なフレーム、内側に木造の構造を用いた。

腐食菌の恐れを考えると木は外壁の中に入れたくないという思いがあり、

外周からセットバックした場所に木の構造をつくり、鉄骨と緊結して混構造とした。

 

近代建築に対して持っている異論が二つある。

施設の内容が何であれ構造形態が同じになってしまうこと。そしてそれに慣れてしまっていること。

つまり、構造がプログラムに対して何も対応していないこと。

もう一点は、周辺環境に対する追従性。

 

屋根構造に関しても、軽量鉄骨と木でトラスを組んでいる。

強いところと弱いところを作ると、それに対して天井高の高いところと低いところができるため、

それを平面計画に対応させた。

これは、プログラムに対して構造を提案したため、近代建築のありようから一歩前進したように思う。

 

■CONTSRUCTION TODAY in JAPAN 

「日本における建物のつくりかた」

在来木造は非常に層が多い構法(9層程度)だが、RCやSは層が少ない構法(3~4層)である。

RCやSはほとんどこの構成からほとんど変更できない。

それに対して木造は、合理化され切っていないところが面白いと思っている。

それぞれの層がそれぞれの機能を持っており、進化の仕方が違う構法である。

新たな要求が来ると層を一つ増やしていくという対応の仕方であり、建築の可能性として面白いと感じている。

 

■CHURCH SUN-PU 2006 ~ 2008

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設計の初日から、壁帯の層構成のスタディをしている。

これはプロテスタントの教会である。

建築史上、プロテスタントの教会はヴァナキュラーな構法で作られていることが多い。

今回は木造を選択した。

立方体状のボリュームに切り妻屋根のヴォリュームを併設したかたちである。

立方体のヴォリュームは、中に礼拝堂を含み、外装はレッドシダーの割肌とした。

20年程度経つと、シルバーグレーに変化し、特定の時間に特定の光の状態がつくりだされる。

内部は無垢材。

下の方は板張りだが、上に行くにつれ細くなり、隙間の占める割合が増していくような内壁となっている。

吸音材を入れて音響に配慮し、その隙間から光も入ってくる。

マイクなしで朗読ができ、人工照明なしで聖書が読めることが大切だと考えた。

プロテスタントは10時~12時に礼拝をするため、12時ごろに屋根上部の構造体が浮かび上がってくるようにトップライトの位置を決定した。

 

■HOUSE UTSUNOMIYA 2007~2008

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東京ガスとのプロジェクト。

自然エネルギーの良さをアピールするような建築というのが施主の要望であった。

半透明の部分と透明の部分から構成されている屋根を提案している。

光が生活のリズムを作り出すようなことを考え、たとえば光が12時にシンクにあたるような設計としている。

機械制御にのみ頼る人工的な生活だと、達成される環境は一種となってしまうのではないか。

季節の差も、地域の差も全くない住環境となってしまうのではないか。

建築は医療のようなものだと思っている。建築の中に入ると体内時計がリセットされるとか、元気になるといったことが実現できるとよい。

東京ガスの床暖を敷設しており、また井戸水を利用して夏には輻射冷房もできるようになっている。

さらに軒下には排煙窓を設けており、屋根下にたまった熱気を排気できるように工夫してある。

ルーバーは軽い素材で、風が通るたびにそよそよ揺れる。光もゆらめく。

光に関しては実際に模型に光を当てることでスタディした。

風も、簡易風洞実験を行い風の流れを確認している。 

 

■KOKUEIKAN PROJECT 2006~2010

壁体を見ると、建物のプログラムや周辺環境などがわかるようになってきた。

近代建築がやってきたような、プログラムはプランで解く、ということとは違う設計へのアプローチができる。

近代建築は、環境的なビルディングタイプとしては一種類である。

これは木造ではないが、上記のような考えを他の構造にも生かせないかという考えからつくった提案である。

ビルの中でも、木陰のような心地よさが感じられるような建物がつくれないかと考えた。

上空はルーバー、壁面上部は欄間状になっており、壁にはつた植物を絡ませる。

これは冷房負荷を減らすことになるが、単にそういったテクニカルなことから発想しているわけではない。

商業活動は、本質的に、人工環境だけでは成り立たないと考えている。

 

 

■質疑応答

 

質問:恐らく意識的に、講義中にモダニズムという言葉を使わなかったように思う。

   近代建築とか近代主義とかの定義はどういうふうに考えているか。

 

 

広義のモダニズムを良くないと考えている。

広義のモダニズムとは、建築家の作品も、たとえばゼネコンの作品も含むモダニズムのことである。

50年代のモダニズムは日進月歩であったが、60年代からのモダニズムは、化粧がかわっているだけに思える。

 

 

質問:壁体の話が興味深かったが、層を構成する素材の一つであるガラスについてどう思うか。

 

ガラスは面白い物性を持っていると思う。

それに対して、窓という単一の使い方には抵抗がある。

ガラスは未来永劫こうした使い方をされていくかには懐疑的である。

窓に使うというのは、ガラス本来の可能性からすると、部分であると考えている。

 

 

質問:光に関して選択的に取り込むことで、自然環境を作り出している。

   自然環境に対する選択性は、プロジェクトスタート時にもう考えているのか、

   場所に行って考えるのか。

 

後者である。場所に行って、周辺環境を観察し、どういった環境を取り込むのが良いか考える。

いつも気をつけていることは、固定観念の被害者とならないこと。

まずはまっさらな状態で敷地に行き、発想するようにしている。

 

 

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エスキス

本日のエスキスは、西沢大良様もご参加くださり、非常に熱気のある、密度の濃いエスキスの時間でした。

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小松くん

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・敷地に行って、本当に木密の地域に風が流れていないのか、

・どんな風が流れているか、実際に見てくる。

・違うアイディアがないか考えてみる。

・現状をシミュレーションしてみる。

・昔の街モデルで、時代ごとの風環境の変遷を追う

・木密で家が建てられてきた原理を理解して、乗り越えていくことが大事。

 

能上さん

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・全体のストーリーは、浸水対策として高床にする→高床を使って無冷房の小学校を提案、という流れ

・高床にするときに、建物を持ち上げるのではなく、地面を掘り下げてみたらどうか。

・掘り下げ方を、自分の欲しい風環境を生み出すように考えていく。

・ボリュームを小さくして、分散型を考えている→ひとつひとつの屋根のかたちを考えてみて、

 風を可視化しているとか、雨水をあつめて利用しているという提案となるとよい。

 

富山くん

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・もともとの超高層案を進めたほうがいいのでは。

 

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・設計プロセスをいったん作ってみる→それに合わせて設計もしてくる

・風のムラだけでなく、光など他の要素も複合的に考えた方が設計が進めやすいのではないか。

・光環境を考えるとしたら、スラブと壁を一緒に操作するのは複雑すぎる。

 たとえばスラブだけというように対象を絞って、アルゴリズムのような操作を考えたらよいのでは。

・ストーリーも同時に考える。それによって、デザインすべき環境が決まってくる。

 

小林さん

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・カーテンから考えた形状が、現案だと、ただファサードの外側に後からつけているように見えてしまう。

 建築の構成要素の本質に結びつくようにできるとよい。

・現案は図書館としているが、プログラムも再考すべき。

ファサードにシステムを組み込むことも考えてみる(冷却装置)→研究所とか…

・プログラムと敷地をつなげるストーリーをつくる

・パースより、まずは模型をつくってみる。

 

一杉くん

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・擁壁をはがすのかはがさないのか。

 

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最終講評もだんだんと近づいてきましたね!

この調子で、これからも頑張ってください!

皆さんの作品を楽しみにしています!