末光様レクチャ+スタジオ内中間講評
5/30のスタジオは末光様レクチャとスタジオ内中間講評を行いました。
末光様レクチャ
「デザインとエンジニアリングの横断」
デザインとSUEP. Labという事務所内研究活動の紹介。
オープンデスク生や外部スタッフを含めて、シミュレーションや実験、リサーチを行う。
○実験
サーモカメラや温度計など、多種多様な器具を用いた実験。
模型でできるので、シミュレーションより簡単。
・葉陰の段床
初期の段階で1/5模型で水をかけて表面温度計で実験を行った。
最終段階では1/1モックアップを作成し、効果を検証した。
・松山の住宅
流線型のスラブを持つ住宅。
1/50模型による簡易風洞実験。精度よりも、おおざっぱな挙動を把握することが目的。
・向日居
Y字のユニットが屋根面で集熱し、ファンで床下に送る。
熱電対を用いた屋根の1/1モックアップによる集熱実験。
・木籠のオフィス
木を籠状に編んだファサードで、自然採光によってオフィスの光環境を作る。
光を透過する断熱材を用いて、モックアップによる採光・断熱実験を行った。
・光壺の家
木密地域で、南側に向くトップライトを持つ住宅。
内装を白く、床を黒くすることで、屋根から入ってくる熱を床に蓄熱する。
・半地下モデルスタディ
実際のプロジェクトに迫られたものではない実験。
スケールの違いから絶対評価はできないが、相対的な温度比較を行った。
○実測と検証
実際の効果を体験したり、データを数字で定量化するといったことを目的とする。
様々な知見を蓄え、応用・発展することができる。
・Kokage
井戸水の輻射冷房効果の実測。
サーモカメラによる表面温度の計測。サーモカメラは非常に高く、一日レンタルするのに7万円ほどかかる。
・葉陰の段床
ミスト噴霧効果検証のため、放射温度計による木過冷却効果の実測。
サーモカメラで外観を撮ると、周りの住宅より冷えていることがわかる。
・向日居
太陽熱集熱効果の実測。
熱電対を用いて、集熱温度や床温度を計測した。
・地中の棲処
土系仕上と緑化による保水効果の実測。
雨を上手く躯体に保水できているか、サーモカメラで検証した。
○シミュレーション
そこで起きる現象をおおざっぱに把握したり、成長する幾何学と連動させることを目的とする。
バリエーションの中から選び出す根拠とする。
・葉陰の段床
気化冷却効率を最大化するパネルの配置。
パネルが最大限日射を受けられるような配置をアルゴリズムを組んで検証した。
・地中の棲処
南から斜面に沿って上がってくる風を受け止める。
・Birdy Terrace
風の広域シミュレーション。
住宅街に広がるクールスポットを繋げることと、母屋と離れの配置の検討。
・光壺の家
風を取り込むシミュレーション。
木造密集地域の路地に吹く風をスタディ。
○成長する幾何学の研究
環境を形の根拠とするときに最も信頼できるツール。
合理性を担保しながら形態生成ができる。
・市原市美術館
風を調整するバラの幾何学。
・Kokage
光を最適化する幾何学。
ツリー型のユニットをトップライトを設けながら変形させる。
・Belle Vue Residences
表面積を最大化する幾何学。
四角いボリュームが表面積を増やすために葉状に発展していく。
・PORUS
空隙率を最大化する幾何学の研究。
市松上にヴォイドを作っていく。
○バイオミミクリーの研究
自然の持つ環境システムを学び、自然界の合理性を解読し、建築に応用する。
・Kokage
木陰の快適性を分析し、建築のシステムに落とし込む。
・Kubomi
半地下の仕組み。
動物の巣に見られるように、自然界にたくさんある窪みを建築空間に適応する。
地面の蓄熱性を利用する。
・葉陰の段床
葉の気化冷却の仕組み。
○設計プロセスの紹介①
・葉陰の段床
敷地の周りにはマンションが建っていて、見下ろされる場所にあった。
最初に施主に見せた、2つの箱に分けたA案と、大きな半屋外のテラスを設けたB案。施主はB案を気に入った。
次に持って行ったのは、土ブロックの市松ルーバーと、アルミパネルのユニットが重なり合うルーバー。施主はアルミパネルの案を気に入った。
環境的なシステムの検討と、プランや空間を並行して進める。
緑化パネルで検討を進めていたが、実際に事務所のベランダで育ててみたが、施主さんは気に入らず、最終的にはアルミパネルに落ち着いた。
この段階で1/5模型での実験を行い、気化冷却のシステムが成り立つか検討した。
その後、成長する幾何学のシミュレーションでパネルの配置検討を行った。
ディテールを詰めながら、1/1モックアップでスタディを行い、完成した。
デザインとエンジニアリングを往復しながら、少しずつ設計していく。
エンジニアリングだけでは空間は生まれない。
○設計プロセス紹介②
・二重屋根の家
山口県下関市の旗竿敷地の住宅。
周りが低層で全く日陰がなく、40mの巨大なルーバー上屋根を作って日射を遮蔽する。
各部屋にトップライトがあり、上屋根とトップライトを通過した日射を取り込む。
全ての日射を遮るのではなく、必要な分だけ、ルーバーの隙間とトップライトから日射を取り込む。
lab.でモックアップを用いた計測調査を行った。
また季節ごとにどのような影ができるのかの日照シミュレーションや、熱負荷シミュレーションを行った。
続いてルーバー配置を決めるための検討。
各部屋ごとに、誰が、いつ、どんなアクティビティを行うのか検証。
代謝量の違いから各部屋の快適温度帯を決定した。
4つのステップからルーバー配置を決定する。
Step1では、季節ごとの太陽の動きと外気温から、取得したい日射、遮蔽したい日射を決め、その太陽位置と重なるルーバーに日射取得・遮蔽係数を与えた。
Step2では各ルーバーに降り注ぐ積算日射量の分布を把握した。
Step3ではStep1,2で得られたコンター図と熱負荷計算から開口率を決定し、Step4で最終的にルーバー位置を決定した。
最後に。
環境的に良いものだけが良い建築ではないし、環境を無視しても良い建築にならない。
最終的な空間のイメージを持ちながら、デザインとエンジニアリングを並行させることが大事。
<質疑応答>
・ご紹介いただいたプロセスにかかった時間はどれくらいですか?
→設計も含めて2年半くらい。普通の住宅は1年で設計を終わらせなければペイしない。
・多くのシミュレーションは、シミュレーションと設計のフィードバックを何度も往復しなければならないですが、葉陰の段床での例のように、Grasshopperを用いてアルゴリズムを組み、アルゴリズムから形態生成していくことについてどうお考えですか?
→アルゴリズムから形態生成するには、自然の合理性の中からどういったルールを抽出するかが大事。
・バラのかたちから風のシミュレーションを行っていましたが、なぜバラを採用したのですか?
→デザイン的な意味と、バラの形状によって風から守られ、流れる空間に魅力を感じたから。
以上がレクチャの内容です。
続いて、スタジオ内中間講評です。
まずはB4から。
・一杉君
斜面の上に建築と土木を一体となって設計する。
・矢吹君
片廊下型集合住宅のリノベーション。
気候差から東京・福岡・札幌を敷地に選んだ。
東京では通風によって快適域が大きく広がる。
・山本君
多治見市の登り窯併設の施設を設計。
既存の登り窯の風の流れを解析。
・能上さん
風を伝える小学校。
従来の風を遮ってしまう小学校ではなく、風を周囲にも内部にも流す小学校を目指す。
<講評>
羽鳥さん(以下H):各自がやっていることが、シミュレーションしなくてもわかるようなことに見える。プレゼンの仕方の問題だが、どう良くなったかわかるような伝え方を。
谷口さん(以下T):最初に行ったリサーチからの連続性が見えない。リサーチから何を発見し、どう面白いと思ったのかこのタイミングで整理するとよいのでは。
末光さん(以下S):登り窯によって生じる様々な温度帯をどう利用するのか考えてみては。能上さんも目的が見えてきた。環境のシミュレーションは、構造と違って何が良いのかパッと見でわかりづらい。見せ方の工夫を考えるべき。矢吹君は、クロスベンチレーションではなく、シングルベンチレーショの可能性を探ってみては。
前先生(以下M):今までのリサーチやプロセスをもう一度振り返ってみると良い。とにかく伝え方。普通じゃない何かサプライズを、どう伝えるか考えてください。
H:まずは既存の問題をきちんと把握する。
T:明確なゴールを設定する。「いろんな場所がある」ではなく、どういった風を流すかはっきりしたイメージを持って設計する。
続いてM1の講評です。
・アリスさん
ギリシャと日本の気候の違いをリサーチした。
ギリシャの風環境は日本より強く、冷たく、乾燥している。
半地下の住居に風を流す。
・小松君
でこぼこで建築を作る。
木密地域を敷地に、全体がでこぼこして風を通す。
・富山君
高層建築群の風環境を考察した。
・藤山君
木材の町として栄えた新木場を敷地とする。
海に隣接した土地で、海からの風を取り込みながら、新木場を木材の町として再生する。
<講評>
S:小松君の案はシミュレーションで何を示しているのかわからない。フラットな状態から一つずつでこぼこができていく中で風環境が変わっていく様子を見せた方がいいかもしれない。
H:シミュレーションの絵はともかく、何を作っているのかわからない。パースを描いて全体像を伝えるようなことは最低限のことであって、環境系だからといって怠っていい部分ではない。
S:全体的にそろそろスタディ模型を作り始めること。アリさんのプレゼンテーションでは、ギリシャの移動しながら生活するライフスタイルが伝わっていないのが残念だった。
H:小松君はスペースブロックと比較して、どういった強みがあるのかはっきり言うこと。富山君は再開発批判するにあたってまずは既存の問題を良く精査すること。
S:環境オリエンテッド過ぎてしまうと、実務をやっている人から見ると突っ込みどころだらけに見えてしまう。
M:操作とリターンのバランスのオーダーが外れすぎてしまわないように。例えば、最小限の操作で最大限の効果が得られるようなサプライズを用意するとか。
S:「風が流れます」というような設定だけだと意外と普通のものになってしまう。全く風が流れない土地で風を起こすであるといった工夫が必要。風だけでなく、風と何かを組み合わせてみるのは大事。
・小林さん
カーテンの心地よさを建築化する。
カーテンが風を受けて膨らんだ形状から空間を作った。
・大國さん
オビカレハから着想した斜めの壁を持った建築。
均質な空間を作るのではなく、斜めの壁で日射受熱量をコントロールし温度成層を作る。
・米澤君
複数のガラスによって日射取得をコントロール。スラブもガラスにすることで室内に入る日射を減らす。
・石綿さん
色の違いによってできる温度差を利用して風を起こす。
西新宿の高層ビルに囲まれた住宅群でケーススタディ。
<講評>
S:米澤君はガラスの厚みの話はせず、枚数のみパラメータとして進めた方が良いのでは。
T:熱環境の話だけでなく、視環境・光環境の話をきちんと掘る。
S:実際にガラスでモックアップを作ってみたらいいのでは。
H:大國さんのは、このスケールで本当に温度成層ができるのか。どういったライフスタイルが生まれるのか。
T:斜めの壁の必然性をもう少し突き詰めたらどうか。
M:小林さんのは、少しめくれ上がったところが突風域にならないか心配。
S:面的なものではなく、風が抜けるものにした方がいいのでは。ただ形態だけカーテンを模すのではなく、ソニービルのようにカーテン内を冷水が流れて涼しいカーテンを作るといった、システムの提案にしてもいいのでは。
M:プログラムが見えてこないから、使われ方をイメージして空間を作ってみては。
高瀬さん;違ったスケールで考えてみては。模型もパースもオーバースケールで小学校としてのイメージがわかない。
T:石綿さんの敷地は風が実際に吹かないのか。西新宿と聞くとビル風が吹いていそうに聞こえる。
M:もっと風が淀んでいる場所を選んできては。
スタジオ内講評の後、個別エスキスに移る前に前先生から小レクチャがありました。
高層ビルの換気方法とクールスポットと通風の関係について。
汗をかく能力がここまで発達しているのは人間と馬くらい。人は1時間に400cc汗をかくことができ、240Wの冷却能力がある。
風を通す、水を撒くといった手法だけではありふれているものと変わらない。そこを超えられるサプライズを。
最後に個別エスキスを行いました。
講師の方・受講生のみなさま、長い時間お疲れ様でした。
次回は6/4(火)です。
■
5月28日、全体中間発表では選抜者計7名の発表を行いました。
以下が概要です。
□スタジオ概要(TA清野)
B4はヴァナキュラー建築、M1はバイオミミクリーのリサーチを元に建築の提案を行う。
B4は上記のリサーチを進める中でテーマの着想を得て提案につなげる。
M1は上記のリサーチを進める中で「型」の着想を得て、建築の提案につなげる。
気候分析ツールとシミュレーションを軸に、風、熱といった環境要素に対して、
様々な類型が提示された。
□選抜者プレゼン<B4>
・矢吹くん 「風抜ける高密住居」
テーマは、片廊下型集合住宅のリノベ。
気候差にかかわらず画一的なプランとなっているが、場所によって違った形態の提案ができるのではないか。
これをヴァナキュラーととらえ、敷地として札幌、東京、神戸を選んだ。
今回は東京に関する敷地を発表する。
東京では、卓越風を取り込むことが大切となってくることから、縦方向、横方向に抜けを作ることで風を通す。
・一杉くん 「斜面に寄り添う」
斜面地に、土木と建築を一体的につくる。
斜面地は都市において様々なポテンシャルを持っているが、有効に利用されていない。
敷地は、30mの高低差のあるところ。
様々なスケールを持った空間をつくりだす。
□講評<B4>
・矢吹くんの案に対して
伊藤先生:東京は全部同じ形態となってしまうのか。
自然条件は、集合住宅のかたちを変えるほどインパクトがあるのか。他の要素の方が強いのでは。
バルコニーなどのかたちは変化しても、プランそのものまで変えるほどなのか。
川添先生:縦にも横にもつながったヴォイドがあるが、垂直方向と水平方向で風や熱の伝わり方が違うはず。
垂直方向と水平方向を分けて建築的な提案につなげられるとよい。
集合住宅において、縦に抜けることと横に抜けることは計画的にも違うアプローチとなる。
・一杉くんの案に対して
川添先生:土を、環境的要素としてどうやって考えるのか。断熱材としてとらえるのか。
土中に完全に埋めてしまえば、恒常的な環境がつくれるが、一部上部に出しているのは、環境的にどういった意味があるのか。
今井先生:水平な面では、建物は4面空気と接するか、土に囲まれるか。それに対して斜面では、半分だけ埋めるということが可能となる。
末光さん:斜面地で半分埋まった建築は、ペリメータは暑くなるが、奥に行くほどひんやりする、という空間となる。
□選抜者プレゼン<M1>
・石綿さん「しまうま模様で風を呼ぶ」
しまうまの表面の白黒の模様で対流が生み出されることを利用して、建築を白と黒に塗り分けることを考える。
実際のシミュレーションで、気流が生じることが確認された。
ケーススタディとして、西新宿の高層ビルの中に残された場所を敷地として設計を考えた。
・大國さん「温度層に暮らす」
オビカレハからインスピレーションを得た。
壁を斜めにすることで、日射の当たる面と当たらない面、屋根面積が操作できるため、
その手法で温度ムラを生み出すことを考えた。
・米澤くん「涼しいガラス空間」
ガラスの重なり方を操作することで、ガラスの住宅をつくりだす。
場所によってガラス層の数が異なるような建築を考える。
地面から床を浮かせ、床もガラスとすることで、涼しいガラス住宅がつくれないか。
・小林さん「風の可視化」
カーテンのある空間の心地よさを再現することを考えた。
カーテンの形状による、風の可視化が気持ちよさの一因となっている。
カーテンの膨らみを平面形状に反映させることで、気持ちのよい空間をつくる。
・小松くん「デコボコ」
屋根をでこぼこさせることで日射をコントロールする建築を考えた。
通風塔を一部に設けるなどして風を取り入れ、パッシブな建築を目指す。
□講評<M1>
・石綿さんの案に対して
伊藤先生:屋根だけ白黒に塗り分けるのか→壁も塗ることを考えている。
佐藤先生:黒い建物の住人は暑くないのか。
川添先生:環境系のスタジオだと、風の入れ方をスタディするだけだと思っていたが、新しいアプローチと感じる。建物だけで操作する必要はあるのか。
ある一つの要素を白と黒に塗り分ける必要があるのか。白い建物と黒い地面、ということも可能ではないか。
佐藤先生:一つの建物を白黒にすることは考えないのか。
末光先生:簡易な模型実験で実測できるから、シミュレーションだけでなく実測もしたほうがよい。
・大國さんの案に対して
川添先生:生み出される温度差が人間の行動にどう影響があるのか。
自分は、夏は涼しければいいし、冬は暖かければよいと感じてしまう。
温度差が活動にどう読み替えられるか、人の活動の分布を温度差と関係づけられれば面白い。
そこのロジックをもう少し詰めるべきである。
佐藤先生:上下の温度ムラは必然的に生まれるが、これまでそれを利用した事例があるのか→民家の最上階のカイコ部屋など
そうした事例があまり見つからないのなら、それはなぜか、考える必要がある。
今井先生:OMソーラーだと、たまった熱を循環させて利用する。
たまったままの熱を利用するというのは今まであまりないかもしれない。
・米澤くんの案に対して
川添先生:ガラスは、厚みの操作はしないのか、枚数だけか。厚みが2倍になると、熱的にはどういった違いがでるのか。
伊藤先生:敷地はまわりに何もないのか。
末光先生:厚みを変える効果は、視覚的な効果のほうが大きいのではないか。視覚的な効果も含めたパースが描けるとよい。
佐藤先生:耐震性は考えていないのか。
・小林さんの案に対して
伊藤先生:壁は、かたちがきまっているのか、動くのか。
佐藤先生:圧力を減らすかたちだと、構造の提案にもつながるかもしれない。
・小松くんの案に対して
川添先生:風を抜くだけでよいのか。
佐藤先生シミュレーションのバリエーションを載せているようだが、どれも同じに見えてしまう。どれがいいのか。
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みなさん、中間講評お疲れ様でした!
本日発表した人もしなかった人も、あと一ヶ月、さらにがんばってください!
6/4 小レクチャー「卒業設計とその後」
6/4(Tue.)18:00-20:30@工学部一号館3階講評室
小レクチャー「卒業設計とその後」登壇者の方々の紹介です。
卒業設計やコンペなどで数々の実績を持つ方から
ヨーロッパやアメリカ、東南アジア、インドでの留学・インターンの経験者、
エンジニアとして研究および 実務に携わる方まで
様々な活躍をされている方々に登壇いただきます。
留学などを考えている人やこれから卒業設計に臨む人、
研究者になろうと考えている人まで、僅かながら参考になればいいなと考え、
このような会を企画するに至りました!!
是非ご参加ください!!
笹田 侑志
ささだ ゆうし
経歴
1987年 福岡県生まれ
2011年 九州大学芸術工学部環境設計学科 卒業 (鵜飼哲矢研究室)
2011-現在 東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻 (清家剛研究室)
2012年 スイス連邦工科大学チューリッヒ校 留学
2013年 1-4月 Pascal Flammer Architect
受賞歴
第3回 ハーフェレ学生デザインコンペティション 最優秀賞
膜・空間デザインコンペ 佳作
せんだいデザインリーグ2011卒業設計日本一決定戦 ファイナリスト
日本建築学会設計競技2010 優秀賞、タジマ奨励賞
佐藤 研吾
さとう けんご
『 ・異形の現在:- 創作論序説「螺旋的思考とその模型について」
- 設計計画「20XX年、新天皇即位に際する迎賓・観光施設及び祭儀の提案」』より
経歴
1989年 横浜生まれ
2011年 東京大学工学部建築学科卒業。
卒業設計にて辰野賞受賞
2012年 winning some prize in "ParticiPlace 2012", International Design Competition: Living Culture Center for the Pinoleville Pomo Nation (a Native American nation in California)
2013年 早稲田大学創造理工学研究科建築学専攻修士課程(石山修武研究室)修了。修士設計にて早稲田建築設計賞受賞
現在、石山修武研究室所属(早稲田大学嘱託研究員)、高山建築学校所属
高瀬 幸造
たかせ こうぞう
東京大学・前研究室・特任研究員, 博士(工学)
受賞歴
「谷間にそよぎわたる声」
東京大学・2006年度卒業設計・奨励作
「ロンドニア・プロジェクト」
第24回 環境デザインコンペティション(2010年)佳作(共同受賞)
「HOUSE BB」
第4回サステナブル住宅賞(2010年) 建築環境・省エネルギー機構理事長賞(共同受賞)
パッシブデザインコンペ(2011年) 優秀賞(共同受賞)
出版
"パッシブを活かした新しい住まい HOUSE BB, 密集住宅地において周辺環境を最大限楽しむ住宅", 建築技術2012年1月号(共同執筆)
"ARCHITECTURE NOW! HOUSES 2", TASCHEN, 2011(HOUSE BBについて共同執筆)
"LCCM住宅の設計手法―デモンストレーション棟を事例として", 建築技術, 共著, 2012.3(共著)
冨永 美保
とみなが みほ
経歴
1988年東京都生まれ
卒業設計日本一決定戦2011.日本一受賞
JACS住宅コンソーシアム2011.最優秀賞
第19回空間デザインコンペティション最優秀賞
大学院卒業時、Y-GSA賞・横浜国立大学名誉学生賞受賞
現在東京藝術大学建築科教育研究助手を勤める
中島 弘貴
なかじま ひろき
経歴
2011年 東京大学工学部建築学科 卒業
2012年 Vo Trong Nghia Architects インターン
現在 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 前真之研究室M2
受賞歴
東京大学工学部建築学科卒業設計賞 奨励作
第6回「街並みの美学」トラベルスカラシップ(芦原建築設計研究所)
第3回文化遺産防災アイディアコンペティション 堀川-歴史的都市軸の再生 優秀賞
第8回ダイワハウスアイディアコンペティション 40坪の使い方 優秀賞
第26回環境デザインコンペティション 地球環境に住む建築作法 優秀賞および佳作
西倉 美祝
にしくら みのり
経歴
東京大学工学部建築学科隈研卒業、
受賞歴
第四回長谷工住まいのデザインコンペ最優秀賞
生きるための家展出展
第26回環境デザインコンペティション優秀賞
卒業設計「明日の世界企業」
せんだいデザインリーグ特別賞など
平野 利樹
ひらの としき
経歴
2009年京都大学建築学科卒業、
2012年プリンストン大学修士課程修了後、Reiser+Umemoto勤務
2013年より東京大学隈研究室博士課程在籍
受賞歴
2008年卒業設計日本一決定戦日本三
2012年プリンストン大学修士設計最優秀賞
松井 一哲
まつい かずあき
経歴
2009〜10年 スウェーデン王立工科大学JASSO給付留学
2012年 東北大学卒業
2012年 SPASM Design Architects/2012年〜 東京大学大学院
来春より 日建設計 設計部門
受賞歴
「卒業設計日本一決定戦2012」日本二
「東北大学卒業設計展」青葉奨励賞
「木愛の会 第二回設計競技」最優秀賞
「UIA Youthjamboree」2nd Prize
「第26回 建築環境デザインコンペティション」佳作
スタジオ内中間講評
今日はスタジオ内での中間講評です。
全体の中間講評に進む案を決めます。
全員が中間講評に進めるわけではないのでいつもより皆気合が入っていました。
まず、4年生の発表がありました。
一杉くん
設計案エスキス
5/21のスタジオ課題です。
本日はB4・M1ともTAによる設計案エスキスを行いました。
■
5月16日(木)のスタジオは、以下の内容でした。
・松本仁様レクチャ
・講師エスキス(B4・M1)
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□松本仁様レクチャ
Environment×(Design + Operation) ≠ Engironent Desing + Operation
本日はこれまでのプロジェクトをDesignとOperationに分けて説明する。
環境とかたちといったことと絡めてレクチャをする。
Design
建築デザインに関して、自身がやっていない興味を持つプロジェクトと、自身が関わったプロジェクトを紹介した。
①自身がやっていないが興味を持つプロジェクト
環境とかたちの関係性といった意味で示唆に富むプロジェクトを紹介した。
以下、例をいくつか述べる。
ノーマンフォスターのロンドン市庁舎
日射に関しては、北に傾けることで形態係数を小さくしている。
表面積が小さく取れる球体を模した形を採用した。
ホプキンスの議員会館
初めは自然換気を考えていたが、屋根に埋め込んだ機械換気を提案。
下に行くほど柱は太くなり、ダクトは細くなるため、それらを組み合わせて均一な太さの柱とした。
レンゾピアノのThe shard
先端の細くなるデザイン。
先端が二つに割れているところを利用できないかと考えた。
形ありきでそれを有効に使う。
②自身がやったプロジェクト
松本様自身の関わったプロジェクトを紹介。
世界的に著名な建築家と数多く協働しており、それらの例を紹介。
創造的な現場でのエンジニアの関わり方に関して多くのお話を聞いた。
設計案を解析し改善案を示す時もあれば、
Engineering Excuseといって計算ツールと閾値を整備した上で
設計者にかたちを任せるといった関わり方の紹介もあった。
Operation
設計に関わってきて、次第に建物のoperationに興味が移ってきた。
構造の人間なら建物が建ちつづけることが職務だが、
設備の人間にとっては、建物を動かしてから想定通りに動くかどうかが重要と感じている。
--
[質疑応答]
清野
・Arupにおいて、Building physicsとはどういう部署か。設備との違いは。
BPは設計をしない部門である。
設計グループで難題が生じたときに相談に行くような部署であり、
エンジニアリングの力で難題に対して対応する。
・Engineering excuseという言葉が印象に残ったが、最終的に設計者が決めるというケースはどのくらいあるのか。
こちらで提案したかたちが採用されることもあるが、かたちの最終決定はデザイン側であるのが基本的。環境だけでかたちは決まらないと思っている。
高瀬
・閾値を決めるという話があったが、その閾値を定める際、どうやって情報や根拠を集めてくるのか。
法制度はかなり参照にする。
ロンドンの法規には、使える基準がたくさん転がっているイメージである。
それに対して日本の法規ではそういった点が弱い。
末光先生
・環境でかたちは決まらないという話があったが、ザハのようにかたちを決めてしまってから設計を投げるのと、三分一さんのように環境の要素を見込んで設計をするのと、どちらがやりやすいか。
ザハのように強力な設計思想がある設計者は、うまく行くようで
解決するゴールがはっきり見えているのである意味ではやりやすい。
仕事の達成感も得られる。
一方、環境的に「こうなるはず」というものを持ってこられると困ってしまうこともある。
こちらに任せてほしいと思うことも。
・海外と日本のエンジニアの違い
海外のエンジニアは入り口でそもそも設備から入ってくるため、
絵で表現することができない。
日本では、建築から入ってくるため、絵で表現することができる設備設計者が育つと思う。
・これから環境コンサルになりたいと思う人に対して、なかなかモデルとなる人物がいないが、
これからどういったことが必要か。
Operationを考えることが大切だと思う。
設備設計者は動かしてみてどうか、ということが大切。
建ってしまって終わりではなく、どのように働いているか、自身で責任を持たなければいけない。
川島先生
・閾値は、これをやったら不快だというレッドカード的な閾値と、これに届けば気持ちいい、という閾値があると思うが、どう思うか。
極端なことを言うと、ほうとうのレストランが一つの例。
夏に暑くても、わざわざそのなかでほうとうを食べるのだからそれでいい、という閾値。
それで空調なしで運用ができるようになる。
レクチャ終了後も、多くの人が松本様に質問をしに集まっていました。
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レクチャにつづいて、グループに分かれてエスキスを行いました。
以下、概略です。
孟さん
模型スタディを行った。
平面で8m×14mのボリュームを考えた。
壁の厚さは1m、2階建てで4部屋入るユニットとなり、
それらの配置を考えている。
直線状に並べた案、円形に並べた案、ぱらぱらと配置させて中庭を囲む案などを考えた。
・周辺のわからないプレゼントなっているため、周辺環境を示すようにしたほうがよい。
・具体的な敷地を決めた方がよい。
・設計の手がかりとなるものは海以外にないのか。
一杉くん
敷地を考えてきた。
根岸の斜面地で、うねるような道のある面白い敷地を見つけた。
・近くにあるNTT社宅の空き家もうまく利用できると面白いのではないか。
・丘の上と下で分断されてしまっている。それらをつなぐような提案ができたらよい。
山本くん
美濃焼きの工場が多く分布している地域に興味を持った。
工場と幼稚園が隣接している場所を敷地として考えている。
両者のコンプレックスとして、何かできないか。
陶器工場の登り窯を利用して、換気や冬の暖房を設備的に考えられないか。
石綿さん
バイオミミクリーのリサーチから、シマウマとトンボの例を見つけた。
シマウマは、表面の白黒の部分で表面の温度が異なってくるため、
体表で微少な対流が生まれ、シマウマの快適感に寄与しているという。
トンボは、羽の表面の微少な凹凸が渦をつくりだし、気流を生み出している。
特にシマウマの例を適用することを考えてみたとき、
表面の色を一戸一戸で塗り分けることで、対流を生み出せないか。
・シミュレーションで試してみるとよい。
・効果のあるスケールを決定できるとよい。
・公園なり宅地なり、対流を起こす公園を都市に埋め込むことで、都市全体の気流を良くする。
・血行のイメージ。現状の都市で風が流れていない場所で、ツボを刺激するように気流を良くする建築(群)を設置する。
・現状の都市の解析と、気流を起こす建築(群)(シマウマの原理)の解析を進める。
大國さん
ななめの壁をどのような空間に生かせそうか考えてきた。
スケールの操作、視覚的な可能性、蓄熱の利用等を考えた。
干物工場→斜めの壁面に干物を干す。保存しておくのは涼しい温熱環境となる部屋と使い分ける。
住宅→夏と冬でアプローチの方向を変える。
温泉とプール
植物園
・問題解決型とするのが楽ではある。現状で環境の悪い建物にV字を適用してみるなど。
・スケールの操作をもっと大胆にしたらどうか。
・屋根と壁の日射の当たる量の違い。
・今はガラスとコンクリートを組み合わせているが、全部ガラスorコンクリートでやるとどうなるのか。
・干物工場は特殊解すぎるのでやめた方がいい。
・伊東さんの台中のオペラハウスと同じ原理で構成できる。
・天候や体調です住み分けられる住宅になれば面白い。
小松くん
密集地域における通風のスタディ
屋根のボリュームのスタディ。
屋根に凸凹をつけることで、下の空間の通風を操作する。
・アルゴリズムの原理を決めて、木密に適応させていく。
・家の中での多様性以上の話、例えば木密に風を通す等。
・そこから発展して、木密が都市のラジエータになるなど、いくらでも話は膨らませられるはず。
アリスさん
タワーとヴォイドを使って換気システムを作りたい。
地下水を用いた気過冷却。
・リングが二つだけでは面白くならないので、リングの数を増やして、それが都市的に広がっていく様子を考える。
・リングの素材・熱容量を変えることで温熱環境の違いを生み、気流を起こす。
米澤君
FlowDesignerで2枚以上のガラスの透過を計算できない。
まずはDIVAで熱環境を解析。
・熱のSimができないのは痛いから、ガラスにこだわらなくてもいいのでは?
・何らかの単純化が必要ではないか。透過率のみ設定等。
・あくまでも考え方のデザインだから、近似化を上手く設定する。
・ガラスの床でいいのかは最終的に問われてしまう。
・ガラスでやるなら平面で壁に特化したほうが良いかもしれない。
・ガラスではなく、何かしらの透過性をもった素材ではダメなのか?
・SOMのイェール大学図書館を参考にしてみる。
・プログラムも早めに決めた方が良い。
・住宅というよりは、もう少し公共性を持ったプログラム。
・どんどん設計条件を絞っていく、どの季節に気持ち良くなるのか。
小林さん
風の可視化、カーテン。
・前スタジオで、どんな建築を作りたいかをまずイメージ。
・ふわっとしたものではなく裏付けできるもの。
・裏付けだけではつまらなくなってしまう。
・膨らむということが持っているロジックと、快適性をつなげれないか。
・建築的なイメージを常に持って進める。
・ロジックだけでは決まらない。
・始めにパターンを列挙する方法と、アルゴリズム的に増えていく方法。
富山君
風を制御する高層ビル。
ボリュームを密にして再Simした。
・メディアテークの設備図で、風を均等に飛ばすように、整流板がたくさんある。
・目的と経験を具体化していく。
・単純なプログラムに落とし込んだほうが上手くいくのでは。
・スタディの仕方が単純/複雑で極端すぎる
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皆さん、だんだん計画が具体的になってきましたね。
中間発表もだんだんと近づいてきました。
この調子でがんばってください!
エスキス
今日は、M1、B4にそれぞれわかれてエスキスを行いました。
以下、M1のエスキスです。
富山くん